ビジネス

『日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか?』(幡野武彦・松田琢磨著、日経BP、2023年2月13日発行)

2017年7月川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社がONEを設立。共同持ち株会社は、郵船38%、川崎汽船31%、商船三井31%の割合で出資、その100%出資の事業運営会社がOcean Network Express Pte. Ltd(シンガポール本社)。 約200隻のコンテナ船を運航、170万本…

『野生化するイノベーション 日本経済「失われた20年」を超える』(清水 洋著、新潮選書、2019年8月発行)

書名が面白い。 イノベーションの経営学的な研究成果のまとめ。イノベーションとは経済的な価値をもたらす新しいものごと。経済的な成長の源泉。 イノベーションはビジネスチャンスの方に移動する。 イノベーションは飼いならせない。管理できない。 イノベ…

『「欲しい」はこうしてつくられる』(プリンス・ギューマン、マット・ジョンソン共著、白揚社、2022年1月26日発行)

ドッグフードをパテと同じ見かけにすると、人間はパテとドッグフードを区別できない。白ワインと、同じワインに食紅を加えて赤くしたワインについてソムリエに感想をもとめると全く違う味として知覚され、異なる感想が述べられる。(pp.16-17)脳は世界を直…

『ライブドア監査人の告白』(田中慎一著、ダイヤモンド社、2006年5月25日発行)

ライブドアの監査は、港陽監査法人が手掛けた。著者は2004年7月港陽監査法人に入り、2005年9月期の第2四半期からライブドアの監査報告書に署名している。 2006年1月16日ライブドアへ強制捜査、1月23日堀江逮捕、風説の流布と偽計取引の容疑で2月13日起訴。2…

『サブスクリプション・マーケティング』(アン・H・フィッシャー著、英治出版、2017年11月30日初版)

サブスクリプションとは定額・継続契約販売方式である。ソフトウェア界でもサブスクリプション化への動きは激しい。 継続を阻害する要因:チャーン(churn:解約、離脱)、企業向けサービスは年率26%、消費者向けは同35%。 人材紹介ビジネスの成功報酬から…

『デジタルエコノミーの罠』(マシュー・ハンドマン著、NTT出版、2020年11月20日発行)

Googleはスピードを最も重視している。2000年初頭の実験では、検索クエリーで10件を返すよりも20件を返すとほんの僅か応答が遅くなる。それによってトラフィックは2割減る。粘着性(=繰り返し戻ってくる)は、スピードによって決まる。 ネットフリックスの…

『5G 次世代移動通信規格の可能性』(森川博之著、岩波新書、2020年4月17日発行)

2019年4月3日米国のベライゾンと韓国のSKテレコム、KT、LGユープラスが5Gサービス開始。ただし韓国はミッドバンドで4Gの延長。その後、欧州・中国も開始。日本は2020年春から。 クアルコム(スマホ向けチップセットの最大手)が5G規格策定でも中心的な役割…

テレワークの実情

コロナ後もテレワーク、「オフィス消滅」企業が続々 (1/3) https://twitter.com/sasakitoshinao/status/1264927932604190720 日立 在宅勤務を標準に転換方針 テレワーク利用が進まない業界、3000人調査で判明 育児しながら在宅勤務“仕事に支障”男性6割 女性9…

『2050年のメディア』(下山 進著、文藝春秋、2019年10月25日発行)

本書は、インターネットによる情報提供がもたらしたメディアの変化の物語である。紙からデジタルへの変化になんとか対応している日経。一方で、うまく変化できない読売新聞社。ヤフー・ジャパンはニュースからデータに変わる。 2018年1月5日読売講堂の賀詞交…

『ウーバーランド アルゴリズムはいかに働き方を変えているか』(アレックス・ローゼンブラッド著、青土社、2019年8月発行)

ライドヘイル:ドライバーを呼んだり、一時的に雇ったりして目的地まで連れて行ってもらうサービスのこと。ライドシェアリングではない。 Uberによれば、ドライバーは労働者ではない。乗客と同様のUberのテクノロジー・サービスの「消費者」である。Uberはド…

『暴走するネット広告 1兆8000億円市場の落とし穴』(NHK取材班、NHK新書、2019年6月10日発行)

NHKクローズアップ現代+「ネット広告の闇」シリーズの取材結果を本にまとめたものである。さすがにお金を使って取材に動いていることが良く分かる。漫画村のサーバーのホスティング業者がウクライナというので、キエフまで取材にいって、旧ソ連時代の倉庫で…

『NETFLIXコンテンツ帝国の野望 GAFAを越える最強IT企業』(ジーナ・キーティング著、新潮社、2019年6月発行)

NETFLIXの起業からダウンストリーミングによる配信が軌道に乗り始めるまでのディープなストーリーである。本書は、創業のコツやビジネスのアイデアが満ち溢れている。 主にブロックバスターという強力なライバルとの闘いの記録が興味深い。映画の媒体が映画…

『図解 FinTechが変えるカード決済ビジネス』(本田 元著、中央経済社、2017年2月20日)

FinTech分野のさまざまなキーワードを簡単に解説する。わかりやすくて良い書。 それにしても、カード分野には日本独自の仕様が多くて、グローバル経済に反してガラパゴス化しているのはびっくり。 交通系非接触カード分野で大成功を収めたFeliCaは、NFC-F仕…

『印刷のできるまで』(富士フィルム グローバルグラフィックシステムズ著、印刷学会出版部、2016年6月発行)

CIE Commission Internationale de l’Eclairage 国際照明委員会 CIE L*a*b*表色系 CIE XYZを知覚的に理解し易くするために考案された Lは明度、a軸は+がRed、-がGreen。b軸は+がYellow、-がBlue。 RGB、CMYKは装置に依存するデバイス・デペンデントカラー …

『クリエーターのためのカラー印刷ゼミナール』(石川 英輔著、印刷学会出版部、1985年10月5日)

カラー印刷の大部分は平版で行われている。ポスターはすべて平版である。 製版は、原稿+版下+指定紙で開始する。カメラ作業、ネガ、ポジ、校正版、校正刷り。 カメラは網取り=網点で表現する。リスフィルムにコンタクトスクリーンをかけて撮影する。 オフセ…

『サブスクリプション・マーケティング』(アン・H・フィッシャー著、英治出版、2017年11月発行)

サブスクリプション方式のサービスが増えている。そのマーケティングについての考え方を整理した本である。ソフトウエアの場合は、クラウドサービスと密接な関係があるが、一般の会員制サービスがこれにあたる。チャーンレート (Churn Rate) の概念は知って…

『サブスクリプション』(ティエン・ツォ著、ダイヤモンド社、2018年10月発行)

ものを作って売るビジネスから、顧客にサービスを提供するビジネスへの転換について熱く語っている書である。ズオラというサブスクリプションビジネスのためのサービスを提供する会社の社長が書いた本で、自社のサービスのプロパゲーションを行っている、と…

『サルたちの狂宴 下』(アントニオ・ガルシア・マルティネス著、早川書房、2018年6月発行)

下巻は、著者がfacebookに入社してから担当したプロジェクトの話を軸にして、facabookの経営陣の人となり、あるいは組織運営、IPOの話と盛り沢山である。読むにつれて面白いのだが、著者が力をいれて開発しスタートしたFBXの説明などはあまりよく理解できな…

『サルたちの狂宴 上』(アントニオ・ガルシア・マルティネス著、早川書房、2018年6月発行)

本書は上下巻に分かれていて、上巻は、著者がニューヨークのゴールドマン・サックスを離れて、シリコンバレーのアドケミー社に移り、さらには、アドケミー社を離れてスタートアップを起こし、スタートアップをM&Aで売却するところまで。この間数年だと思う…

『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット著、草思社、2018年9月発行)

本書は、インターネット・テクノロジーの民主主義への脅威を警告する。具体的な例としては、第3章 ビッグデータと大統領選が一番だ。2016年のアメリカ大統領選の「プロジェクト・アラモ」にはびっくりだ。選挙の投票行動に影響を与えられそうな人を選んで、…

『ビットコインはチグリス川を漂う マネーテクノロジーの未来史』(ディビット・バーチ著、みずず書房、2018年5月発行)

書名からして、回りクドくて意味が理解しにくいが、本文も興味深い内容なのだが、意味が理解しくにい箇所が多い。文章の表現が回りくどいのは、原文が良くないのかそれとも訳が良くないのかどっちなんだろう?本書の英文書名は、“Before Babylon, Beyond Bit…

『After Bitcoinアフター・ビットコイン』(中島 真志著、新潮社、2017年10月発行)

ビットコインを中心とする仮想通貨に関する記述とブロックチェーンについての記述がある。両方とも比較的事実を重視して実証的に書かれているので信頼性が高いように思う。ビットコインは、最初はほとんど遊びでだったが、キプロス危機、その後中国の元問題…

『ロンドン』(小池 滋著、中公新書、1978年発行)

19世紀のロンドンを、ディケンズを中心とする作家の筆によって探訪する。なかなか趣があって面白い。 コベットがロンドンを大きなできものという。都市は、地方の農村から流れてきた人達の集まり。 ディケンズ一家は父親がお金のやりくりに失敗してロンドン…

『コピペと捏造 どこまで許されるのか 表現世界の多様性を探る』(時実象一著、樹村房、2016年11月)

本書はコピペ、パクリ、捏造、改竄などの主に著作権関連で豊富な事例が掲載されているのでありがたい。検察の捏造や改竄は、単純な正義感から行われるものかもしれないが、極めて危険なことは確かである。著者が指摘するように、①デジタル編集ができるように…

『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』(ジェフ・ジャービス、東洋経済新報社、2016年6月)

この人が言っていることは、表現はなかなか過激である。しかし、おそらく正しい。「新聞社や雑誌社は、できるだけ早く、印刷媒体の維持が不可能になるのは(また、少なくとも主たる収益源でなくなるのは)いつかを予測すべきだ。「何年何月何日とはっきり日…