『クリエーターのためのカラー印刷ゼミナール』(石川 英輔著、印刷学会出版部、1985年10月5日)

カラー印刷の大部分は平版で行われている。ポスターはすべて平版である。

製版は、原稿+版下+指定紙で開始する。カメラ作業、ネガ、ポジ、校正版、校正刷り。

カメラは網取り=網点で表現する。リスフィルムにコンタクトスクリーンをかけて撮影する。

オフセットは印刷の方式と平版は版式で別の概念だ。しかし、ほとんどの平版はオフセットで刷られるので、一般にオフセット印刷というと平版オフセットを指す。

平版の修正はフィルムに手を入れる。平版オフセットではフィルムに価値がある。フィルムがあればいつでも印刷できる。

カラーでは4色の色分解して4枚の網ネガを作る。現在はカラースキャナで行うようになった。

原色インキは3原色理論のインキとは少し違って濁っている。これの補正のための修正は、スキャナのデータを電子的に修正する方法、色修正マスキングで行う。

電子時代ではレタッチが複雑作業となった。例えば、ドットエッジレタッチは網点を小さくする。

カラー写真と印刷の違い:写真は連続階調だが、印刷は網点で濃淡を表現する。網版は写真とは異質な技術である。網点の表現力は低い。一方、網版は黒と白しかないデジタル画像なので複製で品質が落ちない。網点の濃さは%で表す。デジタルなので安定性がある。

インキそのものを混ぜ合わせたインキで刷った方が、2種類のインクの網版で刷ったときより鮮やかになる。カラーフィルムと同じ色を同じ3原色色材で表現できない。中間調からハイライトで色が濁るのは網版の宿命。インキを最初からかけあわせた特色を使うと良い(しかし、高い)。

しかし、色の再現性よりも階調が問題。網点の太り(ドットゲイン)と角の部分の広がりのため50%、90%~100%のあたりで階調に影響が大きい。フィルム上ではなだらかに変化していても、印刷すると急に濃くなるという階調のジャンプが起きる。平網50%あたりで印刷ムラが起きやすい。

連続階調フィルムとの相違f:id:anone200909:20190502130231p:plain

モアレ 網版を2枚重ねるとモアレがでる。特色はベタに近いのでモアレは比較的気にならない。また、網版で印刷されたものを原稿にするときモアレが問題になる。

スクリーン角度は網点の並ぶ角度と水平線の角度のこと。モノクロ製版では45度。4色の網版の印刷角度の付け方はノウハウ。

スクリーン印刷はガリ版のようなもの。

※本書は1985年なのでアナログ時代の話が中心である。残念ながら技術的に古すぎる。