ドッグフードをパテと同じ見かけにすると、人間はパテとドッグフードを区別できない。白ワインと、同じワインに食紅を加えて赤くしたワインについてソムリエに感想をもとめると全く違う味として知覚され、異なる感想が述べられる。(pp.16-17)脳は世界を直接知覚するのではなく、現実のモデル(メンタルモデルという)を構築する。メンタルモデルは様々な要因の影響を受ける。(p.21)
メンタルモデル構築では視覚の影響が最も大きい。2番目は聴覚である。人間はメンタルモデルを構築するプロセスを自覚できない。
ブランドとはつながりの集合、意味ネットワークである。ブランディングはつながりを作るための活動である。ブランドがなければ「コーク」の実体は砂糖が入った茶色の炭酸水である。(p.29)ブランドにより脳内でより美味しいと感じる。
脳が、目的なく見て回る(外因性)モードから、目的のもとに注意を向ける(内因性)モードに移行すると、脳が見える情報は文字通り少なくなる。(p.57)その状態はまさに盲目というにふさわしい。
数字のアンカリングの例。279ドルのホームベーカリーの近くに429ドルのホームベーカリーを並べると429ドルのホームベーカリーは売れないが、279ドルのホームベーカリーの売上は倍増した。(p.59)
元値がアンカーとなり、割引価格で売れる。JPペニーは日常的に価格を安く設定する方針に切り替えて、売上が大幅に落ち込んだ。(p.62)
三つの価格の選択肢があると真ん中が選ばれる傾向がある。(p.63)
符号化とは出来事を痕跡に変えること。痕跡は脳の中心部の海馬で管理され、脳の外側の大脳皮質で統合される。脳により強い痕跡を残りやすくする方法:①注意、②負荷、③感情の喚起、④音楽がある。
記憶は変形が可能。広告で認知的不協和を作り出すと、脳はそれを解消するために、行動するか、考えを変えるかする。あるいは記憶の修正もある。
サンクコストの誤謬。過ぎ去ったことに固執する。最初に時間または小さなお金を使わせる。賭けた時間やお金を無駄にしないために、大きな契約が取りやすくなる。
マシュマロテスト。幼い子供をラボに招き、マシュマロ1個をテーブルの上に置く。10分待つともう一つマシュマロをあげる、といってラボに一人にする。10分待って二つのマシュマロを手にしたこどもは、10数年後の大学入試テストの成績がよく、良い仕事に付けた、という実験。自制心を働かせ、衝動買いを抑えるには空腹にならないこと。疲れると衝動買いが起こりやすくなる。(p.152)
Kファクターは、衝動と制御のものさし。10ドルをどう配分するかゲーム=最後通牒ゲームでの行動はKファクターを表す。Kファクターを変化させる環境の例はアルコール。Kファクターを下げて衝動買いしやすくする戦略。(p.160)
どんな報酬をいつもらえるかが分かっていると、快はどんどん小さくなっていく。毎回新鮮に感じる快は、私たちが予測できないものなのだ。(p.180)
現金の支払いは不快を伴う、クレジットカードは支払い感がないので不快が少なく、金を使いやすくなる。(p.188)
一貫性のなさに惹かれる。(p.214)変則的にすることで期待値が高まるため。facebookがニュースフィード機能を始めて導入したとき、それを嫌う人が多かったが、エンゲージメントが増えた。デジタルにおける依存はエンゲージメントと呼ばれる。
中途半端になっている現象に心がとらわれることをツァイガルニク効果という。(p.221)延々とスクロールさせる。クリックベイト広告。
なじみ深いと好意に繋がる。(p.238)単純接触効果=接触機会が多いと好きになる。ただし、15回目が限界で効果が減少する。
なじみ深さと新しさを組み合わせる。New and Safe:NaS(p.250)
共感は個人に対して働くが、集団に対しては働きにくい。(p.283)
無料の水を大きなビジネスに変えたのは、1977年ペリエのマーケティング。(p.304)
プラセボ効果:ものとしては同じドライバーであっても、ナイキのドライバーだと告げられた状態で打つとより遠くへ飛ぶ。(p.359)