『希望の歴史(上)』(ルドガー・ブレグマン著、文芸春秋、2021年7月30日発行)

第2次大戦、ドイツによるロンドン空襲、イギリスによるドイツ空襲で人々の集団ヒステリーを起こすことはできなかった。

2005年8月カトリーナの災害で無政府状態が引き起こされたとメディアが報じたが、それは事実ではない。事実は自発的な協力の波が起きた。

プラセボ効果:偽薬が効果ある。ノセボ効果:ベルギーの集団心因性疾患の例。

西欧思想では人間は悪者と考える。『蠅の王』は無人島で暮らす子供たち残虐さを描いている。これはフィクションである。一方、実際に無人島(トンガのアタ島)で1965年6月から1966年9月11日迄15カ月暮らした子供たちは互いに支え合って生きた心温まる物語である。

ホッブスは悲観論者、人間は恐怖によって動かされる。独裁者リヴァイアサンに権力を与えて統制する。ルソーは人間の本性は善良であるが、文明が人間を破滅に導いたと考える。「私たちに自由を与えよ。」という思想。ホッブスかルソーか?

狩猟採集の時代、人間は自由だった。定住で健康は悪化した。定住農業、私有財産制により、人間に貧富の差が生まれ、支配者が生まれた。

人間は本質的に優しいなら、アウシュヴィッツをどう説明するか。

ミルグラムの電気ショック実験。1961年イェール大学スタンレー・ミルグラムの実験では、先生役と生徒役を一般から募集、先生役は記憶テストで生徒役が間違えると研究スタッフの指示通り、生徒役に電気ショックを与える。被験者の65%が致死レベルの電気ショックを与えた。ごく普通の人の3分の2は見知らぬ人を感電死させてかまわないと思った。この実験は確かだろうか。被験者が本当に自分は電気ショックを与えていると思っていたのか?

1964年3月13日午前3時、ニューヨークでキティの死。殺人を目撃した37人がなにもしなかったという話、傍観者が無関心だったからキティが死んだという、大都市の生活の危険な匿名性というストーリーはマスコミが作ったものであり、報道機関によって話が歪められた。