人間に似たロボットを開発し、それを用いて人間を理解しようとする。構成的方法。2000年頃から人と交わるロボットの研究が盛んになり、その実用化に挑戦する企業も多い。しかし、まだ大きな成功はない。
リモート会議システムは新しいアイデアを出したり、説得するには使いにくい。対話では視線を交わしたり、表情で意思疎通したり、態度で隠れた意思を表すなどが行われるが現在のリモート会議システムではできない。
遠隔操作ロボット:アバターなら実環境で対話できる。しかし、ロボットは製造コストが大きい。遠隔操作ロボットと自立ロボットの境界はあいまい。
人間と双子のロボット:ジェミノイド。遠隔操作対話型ロボット。対話データの収集用、講演・講義なども行う。頭部には15本以上のアクチュエータがあり、表情や唇の動きを表す。何もしていないときの動作もコンピュータで行う。自己のアイデンティティ問題がある。
<クリエィティブな人間は、自分が作りたい未来を自分で想像し、その実現に向けて努力する。>(p.27)
高い次元の認知機能の理解の研究:知能、体の意味・脳と体の関係、複数の感覚(モーダリティ)の統合、意図や欲求の探索、意識、社会関係。
対話ロボットサービス
雑談対話ソフトはディープラーニングを使う音声認識によって進歩した。家庭内対話ロボット、ホテル対話サービスロボット、語学教師ロボット、高齢者用対話サービスロボット、自閉症対話サービスロボット、レストラン対話サービスロボット
アンドロイド
アンドロイドとは人間酷似型ロボットのこと。空気アクチュエータやシリコンの皮膚を使うがまだ人間には遠い。これに対して、ヒューマノイドは人間が無理なく擬人化できるもの。スターウォーズのC3-PO、ホンダのアシモなどがその例。
自律性は反射行動を沢山プログラムして動かすことで実現している。人間が無意識的に行う行動を実装する。ATRの自律対話アンドロイド「エリカ」。
心についてはロボット演劇で研究する。「相手になくても、その動作からあるように思えるもの」が心である。<人間には相手の発話や行動から、相手に心があると感じる機能がある。>
人間のミニマムデザインとしてのテレノイドでも存在感を感じる。人間型抱き枕・ハグビー。ハグビーで安心感を感じる。
対話とは何か。多数ロボット対話システムなどを構築した。相手の言葉を理解しないで対話を続けることもできる。<対話とは必ずしも、言葉の意味を理解して応答することではない。>
脳波計測装置を用いてジェミノイドを操作する。操作中にジェミノイドの腕に注射針を刺すと痛いと感じる。また、ジェミノイドの腕を動かすと脳波が反応するという双方向反応が見られた。侵襲型ブレインマシンインターフェイスを使えば、訓練なしに複雑なロボットを動かせる。人間の脳はアンドロイドの体と繋がることができる。
進化とはなにか。人間は無機物に戻ろうとしている。
本書はなかなか野心的な本だ。