かなり乱暴な文章が多い。
たとえば、「2003年4月末に日経平均株価が「7607円」を付けたところで、デフレ経済はいったん終焉を迎えているのです。」(p.96)という記述があるが、この人は平均株価をインフレ・デフレの判断基準としているように見える。これはまったくのデタラメ。そうやって見ると結構突っ込みどころが多い。
株式投資の方法論としては、第5章はなかなか面白い。
資金総額1億円、1ロット1000万円で1日15万円稼げれば、1日の利益率は0.15%となり、250日取引すれば、年率37.5%になる。(p.160)
このように比較的短期の取引を重ねていく方が年間の利益率は高くなる可能性がある。
※ただし、値上がりを連続して何日間も1日0.15%以上値上がりする銘柄については持ち続ける方が年間の値上がり率は大きくなる。
第5章銘柄選択と売買タイミングのは一つの考え方として良い。
1.投資対象企業を、国際優良銘柄または財務優良企業に絞る。
国債優良銘柄とは、大型銘柄で海外売り上げが30%以上、自己資本比率は30%以上、BPS500円以上。
財務優良銘柄とは、東証プライムで、純資産500億円以上、1日の取引金額が多く、自己資本比率60%以上。
選別結果は230社
2.高配当15社に絞る。
過去15年間にわたり安定的に高水準の配当を支払っている会社
配当利回りは3.75%以上(手取り3%以上)
減配は特別な時のみで、過去15年間で2回以内。
現時点では15社しかない。
3.買付価格の設定
1年に1度か2度付く最安値を買付価格
5年に1度か2度付く最安値をナンピン価格
※p.148-149に表がある。簡単に想像がつくが、優良株が、この買付価格に達するのはめったにない。これでは長期ならともかく、短期売買は無理だ。
※確かにこの価格で買えば損はしないだろう。しかし、買えるチャンスがめったにないのではあまり意味がない。また、買えるチャンスは業績が大幅に下がったときの可能性があるので要注意だ。ここに上がっている中で、本書に書かれている目標価格を下回ってるのはアステラス製薬のみだ。しかし、アステラスは個人的にはしょうもない銘柄と思う。毎年利益がへり、利益率がどんどん下がっているし、確かに配当は維持しているが、前期の配当性向なんて700%を超えている。
※買いの目標額を「1年に1度か2度付く最安値を買付価格」とすると株価が右肩上がりの株を買うことは永遠にできない。逆に、株価が下がり続けている株を買うことになってしまう。真面目に考えているんだろうか?