『米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界』(佐橋 亮著、中公新書、2021年7月25日発行)

第1章から第4章までは、米中対立について、歴代の政権・政府を中心とするアメリカ側の中国への姿勢の変化を中心に分析した報告である。

中華人民共和国が成立後、米中は朝鮮戦争で銃火を交え、その後長く敵対関係となる。

1960年代にソ連への牽制、ベトナム戦争の解決のために中国との関係を打開すべきという声が高まった。1971年7月キッシンジャー秘密訪中、1972年2月ニクソン大統領の上海訪中で米中共同コミュニケを発表。1978年12月カーター政権で漸く国交正常化となる。米国の中国への関与・支援で市場正常化、政治改革への期待。また中国は超大国ではないという認識があった。

1982年8月台湾への武器売却に関する共同コミュニケ。但し、減らすというのは空約束で、内部的には台湾への武器売却は中国の姿勢次第とする。

1989年6月4日天安門事件。米国の市民社会での批判は強まる。しかし、ブッシュ政権は親中国よりの姿勢を続け、関与政策の固定化。

21世紀になり、中国が世界第2位の経済大国になったあと、市場改革はむしろ後退、南シナ海東シナ海での高圧的な姿勢を打ち出す。

オバマ時代から失望に変わり、トランプの時代に対立となる。

米国は必ずしも一枚岩ではないので、第5章では米国内の諸勢力についての説明がある。

第6章ではヨーロッパ、インド・太平洋、東南アジア、台湾などの諸外国の対応を整理する。

第8章は米中対立が向かう将来について。