『アメリカVSロシア 冷戦時代とその遺産』(ウォルター・ラフィーバー著、芦書房、2012年2月12日発行)

第2次世界大戦期から2006年までの歴代の大統領と政権の外交・戦争に関して行ってきたことを概観している。米国の各大統領政権の行ったことの記述も読みごたえがある。第1次世界大戦期にロシアがソ連になり、そして戦後のソ連との対立=冷戦、1991年まではソ連との対立が外交の軸であった。この間の米国はイデオロギーに支配されて、現実認識が弱かったように感じる。

1991年のソ連崩壊で自由主義陣営の勝利かと見られたところ、しかし現実は逆に、益々の混とんの時代となってしまう。1991年12月ロシア連邦ウクライナベラルーシ独立宣言し、独立国家共同体(CIS)が創設された。旧ソ連の15共和国中11か国がCISに参加。バルト3国とグルジアは参加せず。12月25日ゴルバチョフの辞意とソ連国旗が降ろされてロシア国旗に入れ替わる場面の印象が強い。

アメリカの現代史は世界の現代史でもあるが、それを理解するには良い本だ。本書は全体として歴代の大統領に厳しい評価を下している面が強い印象を持つ。

ブッシュ(親)の方は、それなりに外交に見識があったが、ブッシュ(子)はそれにしても酷い失政だった。

ちなみに、現在は、米国にとってはロシアよりもむしろ中国との対立が課題になっているが、中国は一党独裁の資本主義国という点でソ連とは異なる。米国勝利という過去の繰り返しにはならないような気がする。