『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』(原 朗著、NHK出版新書、2014年10月10日発行)

歴史の真実が書いた人によって異なるはずはないと思うが、いままで読んだ本とはかなり異なることが書いてある。

どこまでが真実なのか、また今後の研究によって変ってくるかはなかなか分からないが。

日清戦争日露戦争とも第1の目的が朝鮮半島の権益確保あるいは支配を目的としたものであったという本書の主張は重要だと思う。

但し、明治時代の日本がなぜ朝鮮半島に利権を拡大しようとしたのか、その動機は、今ひとつ分からない。

明治時代から朝鮮に進出し、さらには満州、中国と侵略を重ねていったのはなぜなのか? 世界大戦の合間で西欧の国が東アジアまで手が回らない時期に対中21箇条を突きつけるなど、今の時代から見ればあまりにも傲慢な政策であるが、そんなことをする必要があったのか?

こうした強欲と傲慢さにより獲得した権益も領土も、結局、アジア太平洋戦争の敗北により失ったのは自業自得と言える。しかし、過去の業によって現在の対日感情までが悪影響を受けていることを考えると、まだまだ過去の業が消えていないと言えるのかもしれない。