『日本列島の下では何が起きているのか』(中島 淳一著、講談社ブルーバックス、2018年10月発行)

主にプレートの沈み込みを中心に日本列島の下で起きていることをまとめた力作。地震波の測定データから地震波トモグラフィーによって地下の断面図が得られるようになっており、そのデータを使いながら地下構造を推定していく。

但し、地震波トモグラフィーの解析精度はあまり高くない。地震波の波長は1〜数百キロであり、ノイズも多いためである。

また、GNNS(Global Navigation Satellite System)で地表面の移動を観測できる。

本書で面白いのはプレートの歴史があることと、プレートについての新説である。通常は、日本列島は太平洋プレート、フィリピン海プレートユーラシアプレート、北米プレートが集まるところとされている。本書では、新しい理解としてアムールプレート(ユーラシアプレートから分離)、オホーツクプレート(北米プレートから分離)が示されている。

あとは、火山とプレートの沈み込みの関係、特に水の働きなどかなり技術的にしっかりと書かれている。著者がまだ40代という働きざかりなのもこうしたしっかりした内容になっている理由とも思える。