『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』(本郷 和人著、朝日新聞出版、2018年12月発行)

全般的にちょっと細切れな話が一杯出ている。面白い味方が随所に紹介されてはいるが、独語の充実感が足りない。

例としては、秀吉の戦争に対する取り組みが独創的であるという話の中に、鳥取城の兵糧攻めの話が出てくる。これ自体は面白い話であるが、トピック的な言及に留まっているので読み応えとして物足りない。もう少し長く説明してもらえるともっと読み応えがあるんだろうけどナ。

戦争に企業経営と同じ大義名分やビジョンが必要という話はもちろん納得できる。信長のビジョンは旗印に永楽銭を使い、銭が世の中を変えることを示し、天下布武=天下に武を布くというビジョンを示したことであるという。

その通りなんだが、もう少しその具体的な効果を示して欲しかった。そんな昔のスローガンの効果を解明するのは無理なのだろうか? もし、そうだとするとこれは研究にはならなくてお話のレベルだよなあ。