『江戸古地図物語』(南 和夫・北島 正元著、毎日新聞社、1975年10月発行)

江戸の町作り、町方の生活、江戸っ子の遊びの3パートから構成される。
江戸の町作りは家康の入国当時から始まって、振袖火事、本所・深川の町作り、江戸の膨張=内藤新宿目黒不動への広がりの話し。

町方は奉行の紹介に加えて、与力・同心のお勤めから岡っ引きまでの賃金・給与などが出ていて面白い。与力・同心の生活は苦しかったようだ。
全体として江戸時代の庶民生活は一部を除いてあまり豊かではなく、米価は下落するが、地代・家賃が高騰するなどのアンバランスの状態。その中で物価の管理が難しかったようだ。
冷害などで不作になると食料が不足して、打ち壊しなどの騒動が起きたという話し。

江戸っ子の遊びは、吉原と岡場所の対比、娘浄瑠璃、官許の歌舞伎と小芝居(宮地芝居)の対比が面白い。
江戸時代には特に幕府のお膝元である江戸は官の規制が厳しく、浮き草稼業は規制の影響を受けて、なかなか厳しいものだったようだ。