『地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題』(川瀬 宏明著、ベレ出版、2019年12月25日発行)

本書の半分くらいは地球温暖化と関係なく、日本列島各地での雪の話である。そういう意味では、若干、タイトルに偽りありだ。

気になる地球温暖化の話は、後ろの方3分の1位であるが、気象庁のWebにあるデータを参考にしてほしいというような記述が目立つ。

過去の温度変化を見ると、日本では100年当たり1.21度気温が上昇している。(pp 177-179)

異常気象は、ある場所・季節において30年に1回以下で発生する現象である。(p.150)原因の代表例はエルニーニョラニャーニャという海面温度変動現象。地球温暖化は世界規模で長期的に気温が上昇する現象。世界平均気温は1880年から2012年までに0.85度上昇した。(p.168)

2018年の夏は異常が多く、11県で大雨特別警報が出された。大雨のあと一転して猛暑となり、埼玉県熊谷市で41.1度となって最高気温を塗り替えた。イベントアトリビューション(異常気象の要因分析)によると、2018年の猛暑は温暖化がなかったら起こりえなかったようだ。

気候変動に関する政府間パネルIPCC)の報告書が第5次(2013年発表)まで出ている。現在、第6次を作成中。

気候モデルによるシミュレーションでは温暖化ガスの排出がなかった場合と、あった場合の気温の変化をシミュレーションできる。もし、人為的な要因がないとすると1960年以降の地球全体の気温の上昇は起きず、逆に火山ガスで気温が下がっていたはずである。また、温暖化ガスの排出シナリオを投入する気候変動を予測できる。IPCCの予測では、現在と同じ排出を続けた場合、21世紀末には4.8度程度気温が上昇するという。

温暖化ガスは既に地球の温暖化をもたらしており、さらには、今後の温度上昇も厳しいようだ。このあたり気象庁のデータはまたかなり専門用語があって理解しにくいところなので、もう少しかみ砕いてうまく説明してほしいところである。