『気候を操作する 温暖化対策の危険な「最終手段」』(杉山 昌広著、KADOKAWA、2021年3月26日発行)

世界経済フォーラムの報告書2020年1月起こる可能性の高いトップ5リスクは環境関連だった。2021年は感染症が注目を浴びたが、気候変動リスクが上位。

RE100:再生可能エネルギー100%。

CO2排出量減少だけでは対策として不十分。大気からCO2を除去する、地球を直接冷却するといった対策が必要になっている。大気からCO2除去する実証実験プラントは15機稼働開始している。また、太陽放射改変も注目されている。成層圏に微粒子を注入して曇りの状態にする。これらを扱うのが気候工学で、CO2除去と放射改変の総称である。

人類の力が全世界的に及ぶ時代を「人新世」という。

IPCC気候変動に関する政府間パネル

気候変動は不確実で明確に予想できない。予測できない未来をシナリオで研究する。

省エネでは、CO2排出量をゼロにはできない。先進国のみならず、発展途上国でも削減が必要になる。世界全体で考えると特に排出ゼロは無理だろう。コスト的にも大きくかかる。大気からCO2を回収する方が安い。

CO2除去は、様々な方法の総称。CO2を除去する方法としては植林、海洋鉄散布(海洋での光合成を増やす)、CCS(煙突にCO2回収装置を付ける)付きバイオマスエネルギー(BECCS)もある。ただし、バイオマスは大規模化が難しい。空気からの直接回収は、宇宙ステーション、潜水艦でも使われるが、これらはコスト無視。直接空気回収のスタートアップ:クライムワークス(スイス)、カーボン・エンジニアリング(カナダ)、など。直接空気回収はエネルギー集約型。

地域的介入:南極氷床、北極海氷、グレートバリアリーフ珊瑚礁の白化現象阻止)

放射改変:宇宙太陽光シールド、成層圏エアロゾル注入、雲の白色化、屋根の反射率増加など。