『地球46億年気候大変動』(横山 祐典著、講談社ブルーバックス、2018年10月20日発行)

二酸化炭素の濃度が地球全体の気温の変動に与える影響について。

地球の大気組成・地上付近:窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.035%。二酸化炭素は強い温室効果をもつ。

グリーンランド氷床6m、南極氷床70m海面を上昇させる淡水を蓄えている。西南極の氷床が融けると海面が5m上昇すると言われる。

古気候学では同位体分別の理論と分析により太古の気候変動を復元する。二酸化炭素の濃度がなぜ、どのように変化したか。この70年ほどで、古気候学によって明らかになった。

14C 年代測定法。14C は地球上層の大気と宇宙からくる高エネルギー陽子との相互作用で作られ、半減期5730年で窒素に変わる。試料の中の量を測定すると最長5万年まで分析可能。

炭素循環のサーモスタット。ウォーカーフィードバック=温度が上がると水が蒸発し、雨が増える。二酸化炭素は雨に溶けて炭酸となり岩石を風化させる。ケイ酸塩鉱物の風化で空気中の二酸化炭素が減る。(大気)仮にスノーボール状態になると風化での炭酸除去はなくなるが、地球内部の火山から二酸化炭素が供給されて大気温度が上がる。

短い時間で働くエキソジェニック(外的)システムと、長期の固体地球によるエンドジェニック(内的)システム。

同位体温度計で化石から水温を計算する。化石の年代が分かれば年代別の水温が分かる。ユーリーらが1951年べレムナイトの化石から白亜紀の水温が15~20℃であったことなどを推定した。シャクルトンはその式の精度を高め、海水の同位体比の変化から氷床量の推定を可能にした。

暗い太陽のパラドックス。恒星進化の標準モデルでは核融合は時間とともに加速する。46億年前太陽が誕生したときの温度は今より低く25~30%暗かった。シミュレーションでは地球は46億年間氷結する。初期地球は隕石の衝突でマグマオーシャンだったといわれる。

地球の酸素量は初期は少なく、約20~25億年前GOE、5~7億年前NOEに大酸化イベントで急激に増えた。酸素は宇宙で多い元素だが、火星や金星では二酸化炭素や酸化物になっている。地球では生物が誕生し酸素を分離した。シアノバクテリア光合成ブドウ糖を生成し、酸素を作った。但し、当初は酸素が増えなかったが、GOE前にプレートテクトニクスによって大陸地殻が酸素を吸収しないケイ長質岩石(花崗岩など)に変わったのではないか。NOEでは有機物由来の炭素蓄積で二酸化炭素の供給が増えた。

5億4千年前カンブリア爆発で1万種以上の生物が発生。中生代三畳紀(2億5千年前~2億年前)に恐竜が誕生した。白亜紀は温室地球で平均気温24~27度C。(現在の地球の平均気温は15度C)。西部太平洋の海台がジュラ紀白亜紀の前)の年代を持つ。大きな海台は白亜紀に形成された。白亜紀は火山活動が活発だった。但し、それだけでは二酸化炭素の供給量増加は説明できない。白亜紀は大陸の周りに炭酸岩塩に富む浅い海が広がりそこで二酸化炭素が生成されたという説を提唱。

6600万年前恐竜絶滅は隕石によるが定説。5500万年前から100万年間温暖期、その後寒冷化する。寒冷な新生代への移行。インド亜大陸ユーラシア大陸の衝突で起きたヒマラヤ・チベットの隆起、それに伴う風化で二酸化炭素が除去されて寒冷化したという説が、1992年に提唱された。その後、オフィライト層の熱帯収束帯での暴露による風化による二酸化炭素固定説がより高く評価されている。また南極氷床形成は南極の周囲の海流の変化によるという説がある。

1930年代にミランコビッチサイクル、天文学的要因気候変化説が提唱される。新生代の寒冷(氷期)・温暖期(間氷期)の繰り返しを説明する。1976年に米国のクライマップチームが正しいとする計測結果を発表した。

最終氷期には130mの海面低下をもたらす氷床があった。

南極の氷には10万年周期の氷期間氷期が記録されている。氷期間氷期のサイクルは4万年と10万年。氷期二酸化炭素は180~200ppm、間氷期は280ppm。2018年現在は400ppm。超長期では大気と固体地球の二酸化炭素のやりとり、10万年周期より短い期間では海と大気の二酸化炭素のやりとりが重要。特に深海に蓄積される。深海に二酸化炭素を送り込むメカニズムは、溶解、有機物、炭酸塩がある。深海にある熱塩循環路。