『人工知能の核心』(羽生 善治・NHKスペシャル取材班著、NHK出版新書、2017年3月)

人工知能の開発最前線に関する本としてはできが良い。人工知能について良く思考されたポイントが指摘されており参考になる。

アルファ碁が強くなった理由はアルファ碁同士でとてつもない数の対局をこなし、何十万局のデータを短時間で積み重ねたこと。特に誤差逆伝搬の考え方で、間違った答えを出す神経細胞をうまく間引くという指摘は面白い。

チェスや将棋では評価関数を使う。特にまずは考えなくても良い手を除外して絞る。コンピュータ将棋の枝刈りを行う。アルファ碁も同じことをしている。読みの省略は人間に似ている。

人間の知性の汎用性は、また人工知能では難しい。

人工知能では恐怖心が無い。これまでの常識にこだわらない一手が出てくる。

人工知能に創造は生み出しにくい。

などなど。かなり深く考えたことが伝わってくる。