『国語辞典のゆくえ』(飯間 浩明著、NHK出版、2017年7月)

NHKラジオのカルチャー講座テキストです。

明治に入って英語の辞書をモデルに発展し始めた国語辞典の歴史が面白い。

辞書を1つ作るのは10年、20年かかる一生の仕事になり、それは家業となる場合もある。情念と執念の仕事であった。

日本語辞書は、戦後長らく紙であったが、1990年代には電子辞書(専用機)が普及しはじめた。その後はWebの辞書が普及し、現在はスマホアプリ辞書が人気になっているのであろう。電子辞書はスマホアプリに取って代わられた。本書ではネット辞書とスマホアプリの区別はあまり明確になっていないが、このあたりの議論はもっと詰めて行かないといけない。この2つはビジネスモデルがかなり異なっている。

後半の新しい辞書への志向の話も興味深いアイデアが多い。どこまで具体的な実現性を考えているのかが分からないが、まだ大きな可能性がある。スマホ辞書の活用は無料の辞書との差別化としても良い方向だと思う。

こんな充実したテキストがあるとは、ラジオも侮れない。