2017-01-01から1年間の記事一覧

『戦艦大和の運命』(ラッセル・スパー著・左近允 尚敏訳、新潮社、1987年8月)

イギリス人の記者がこのような本を出しているとは、ちょっとびっくりだが、内容はなかなか良く調べてある。日本人の書いたものと違って、米軍の視点が半分以上入っているのが興味深い点である。読んでみると戦艦大和について実戦の経験者に取材し、話を聞い…

『物語 ストラスブールの歴史』(内田 日出海著、中公新書、2009年10月25日発行)

ストラスブールは、フランスとドイツの国境地帯 アルザスの都市である。ライン川の支流のイル川の三角州の中に作られた。ローマ時代よりも前、ケルト人がその元を作ったのだが、川と川に囲まれた領域は、見知らぬものからの攻撃を避けるのに都合が良いという…

『第二次世界大戦の起源』(A. J. P. テイラー、吉田輝夫訳、中央公論社、1977年3月25日発行)

第一次世界大戦の後から、第二次世界大戦が始まるまでの期間のヨーロッパの体制について。特にドイツ、イギリス、フランス、イタリアを中心とする。ベルサイユ体制、エチオピア戦争とロカルノ条約、オーストリア併合、チェコスロバキアの危機を経て、ポーラ…

『戦争の日本中世史』(呉座 勇一著、新潮選書、2017年4月発行第6刷)

蒙古襲来から応仁の乱までの200年間の武士を中心とする戦いの話。鎌倉幕府成立から多少の時間を経て、平和ぼけしていた武士に襲いかかった蒙古襲来の話。悪党論南北朝時代南北朝の終戦後足利義満の治世〜応仁の乱まで。過去の研究を**史観として規定してそ…

『絵草紙屋 江戸の浮世絵ショップ』(鈴木 俊幸著、平凡社、2010年発行)

江戸の終わり頃から明治の初めに掛けての、絵草紙を流通(版元、絵草紙屋)の状況をから見た本である。書籍が人生・社会にとって不変の価値を持つものであり、姿勢を正して紐解くものなのに対して、絵草紙は無駄で自由気ままなもの。行ってみればいまのコミ…

『米欧回覧実記5ヨーロッパ大陸編・下』(久米邦武編著 水沢周訳・注、慶應義塾大学出版会、2008年6月発行)

下巻は、スイスを訪問し、観光を楽しむも急遽帰国せよとの指示が来て、スペイン・ポルトガルを訪問せず、マルセイユから帰国の途につく。マルセイユ、地中海の旅、スエズ運河から紅海を経て、アラビア海アデンを見る。セイロン島、シンガポール、サイゴン、…

『米欧回覧実記4ヨーロッパ大陸編・中』(久米邦武編著 水沢周訳・注、慶應義塾大学出版会、2008年6月発行)

ロシア、デンマーク、スエーデン、北ドイツ、南ドイツ、イタリア、オーストリアを訪ねた記録。ちょうどクリミア戦争(1853年9月〜1856年2月パリで和平会議スタート)が終わって23年、第一次世界大戦まで40年の時期のヨーロッパの様子が分かる。本書では訪れ…

『米欧回覧実記3ヨーロッパ大陸編・上』(久米邦武編著 水沢周訳・注、慶應義塾大学出版会、2008年6月発行)

第3巻はフランス、ベルギー、オランダ、ドイツ(プロイセン)という西欧の国々の訪問記である。パリ、ハーグ、ロッテルダム、ライデン、アムステルダム、ベルリン、ポツダムを訪問し、次なる目的地であるロシアに向かうまでの記。明治5年(1872年)12月16日…

『本を読むデモクラシー』(宮下志朗著、刀水書房、2008年3月発行)

フランスの19世紀後半の署名率7割を超えていたという興味深いデータから始まる。19世紀前半のパリの読書室の分布、「ブロス文芸室」の話、ガリニャーニ書店の歴史(店主は実にビジネスチャンスを見つけるのが上手)、など興味深い話が次々に展開されて飽きさ…

『Easy PDF Checker』 PDFのページサイズ、フォント埋め込みの有無などをチェック 

『Easy PDF Checker』は、PDFのプロパティ情報、PDFのページのサイズ、PDFにフォントが埋め込まれているかどうか、などをチェックします。http://www.antenna.co.jp/epub/pdfchecktool.html操作は簡単です。コマンドラインで操作して、PDFを入力し、プレーン…

『宇宙探査機はるかなる旅路へ』(山川 宏著、化学同人発行、2013年6月30日)

宇宙探査機の設計から飛行計画、軌道計算、主な探査機など全てが分かる本である。かなり専門的ではあるが、分からないというほどではない。ほどよい難しさである。特に飛行計画におけるスイングバイは面白い。また、イオンエンジンなど新しいエンジンの話も…

『第二次世界大戦 1939-1945 中』(アントニー・ビーヴァー著、白水社、2015年7月)

だいぶ前に、上巻と下巻を読んだ。中巻があることに気が付かなかった。それくらい、同じような戦闘の記録の繰り返しの本。戦闘に次ぐ戦闘、殺人に次ぐ殺人、最後はガスによる大量殺人。こんなことが行われていたなんて、とても信じがたい話だ。今後起きなけ…

『ヒトラー・1932〜34 ドイツ現代史への証言』(上・下)(四宮 恭二著、NHKブックス、昭和56年2月、3月)

ワイマール共和国の最後の時代、ヒトラーが台頭したときにドイツに1年半ほど留学した著者が見聞きした様子を中心にまとめた本。ワイマール共和国の最後の大統領であるヒンデンブルクが最初は、伍長と馬鹿にしたヒトラーが最後はヒンデンブルクの後継者として…

『米欧回覧実記2イギリス編』(久米 邦武、慶應義塾大学出版会、2008年6月刊)

明治5年7月13日リバプールに着き、ロンドンに向かう。 ロンドン滞在後各地方の都市を巡察する。リバプール マンチェスター グラスゴー エディンバラ ハイランド観光 ニューキャッスル ブラッドフォード シェフィールド スタッフォード、ワーリック州 バーミ…

html5j電子出版部の勉強会『JLREQとCSS』

Web

http://sphinx-users.jp/event/20170314_html5jpub.html・紙の世界⇒PDF ・(eインク) ・ディスプレイの世界今の出版は紙が主でディスプレイが従である。 今後はディスプレイ主で紙が従の世界になる。これを考えるには、紙の世界を延長していく、という考え方…

本とは何か論議(facebook)のメモ

構造化井戸端論議https://www.facebook.com/NakamataAkio/posts/10212001261727719キーワード・SNSは読書の時間をものすごく奪っている。 ・伝統的に本が「構造化」してきた知識なり情報のフォーマット ・「本」のかたち ・「本」による情報や知識の構造化は…

『夢遊病者たち』(クリストファー・クラーク、小原淳訳、みすず書房、2017年1月)

第一次大戦がどのように起きたかを、起きる前のバルカン半島の状況から物語風に描く。第1巻 第1章はセルビアである。まず、1903年6月11日午前2時過ぎに起きたセルビアでの王と王妃の虐殺から始まる。1912年10月〜13年5月の第一次バルカン戦争、1913年6〜7月…

『和本のすすめ』(中野三敏、岩波新書、2011年10月)

和本の作られ方を学ぶ。facebookで引用https://www.facebook.com/tokushige.kobayashi/posts/1438576886227420ブログで引用http://blog.cas-ub.com/?m=20170204

『ロシア革命』(池田嘉郎、岩波新書、2017年1月発行)

2017年2月のロシア二月革命から10月のロシア十月革命までの期間についての書である。最後はボルシェビイキによる革命までの8ヶ月間を書こうという着眼点は面白いかもしれない。しかし、文章がまったく面白くない。面白くないのは、なぜなんだろう? と思うの…

ページと頁についてメモ

https://www.facebook.com/tokushige.kobayashi/posts/1435107459907696英語のPageと、日本語の頁と、カタカナのページの関係がまた厄介です。英語のPageが日本で使われ始めたのは明治の初めのようだ。https://www.facebook.com/tokushige.kobayashi/posts/1…

『Weaving the WEB』(Tim Berners Lee, Harper, 1999-2000)

Web

In March 1991, I released the WorldWideWeb program to a limited number of CERN people who had NeXT computers.(p.45)Web pagesという言葉がどこからでてきたのか? を調べる。どうやらある領域上で可視化されている情報がページである。その領域をペー…

『紙の世界史』(マーク・カーランスキー著、川副 智子訳、徳間書店、2016年11月発行)

最初の方はあまり面白くない。第五章 紙が使われ始めた頃のこと「ダンテの『神曲』には紙を意味する「カルテ」という言葉が少なくとも九回は出てくる(中略)、ワーズワースをはじめ、『神曲』を英訳した人々はたいてい「カルテ」に「紙(ペーパー)」ではな…

『ロレンスがいたアラビア 下』(スコット・アンダーソン著、山村宜子訳、白水社、2016年)

下巻はアカバの攻略で有名になったロレンスの活躍、そしてダマスカス奪取でアラブ反乱終盤戦に至る。ダマスカス以後から終末まで、という話。フランスと英国が中東を取り合う話は、他の本「アラブ500年史」とか、「平和を消滅させた和平」などで読んだ話だが…

『ロレンスがいたアラビア 上』(スコット・アンダーソン著、山村宜子訳、白水社、2016年)

英国のロレンスを主軸に、米国人イェール、米国系ユダヤ人アーロンソン、ドイツのスパイ ブリューガーという4名の欧米人に役回りさせながら、第一次大戦のアラブの反乱の経過を語る。純粋な歴史書ではなく、かといって伝記でもない。半分フィクションのよう…

『平家物語』(古川 日出男訳、河出書房新社、2016年12月)

分厚い。テキストのボリュームが半端じゃない。しかし、面白い。登場人物が多くて一度では覚えきれないのが難だが。文学ということが多少分かる本である。エンターテインメントなのでこれ以上はいうことなし。