『米欧回覧実記4ヨーロッパ大陸編・中』(久米邦武編著 水沢周訳・注、慶應義塾大学出版会、2008年6月発行)

ロシア、デンマーク、スエーデン、北ドイツ、南ドイツ、イタリア、オーストリアを訪ねた記録。ちょうどクリミア戦争(1853年9月〜1856年2月パリで和平会議スタート)が終わって23年、第一次世界大戦まで40年の時期のヨーロッパの様子が分かる。本書では訪れた各国・主な都市の総説があるが、これを見ると良く資料を集めてきたものだと思う。使節団が集めてきた資料だけでも膨大だろう。歴史の記録としても貴重である。

1873年3月29日ドイツを離れ,ロシアに入る。30日サンクト・ペテルベルグへ入る。国境から890キロ。フランスからロシアまで文明の度合いが薄れる状態が車窓の風景として語られている。宮廷ではアレクサンドル二世に会う。

4月15日ロシアを離れて、東プロイセンに入る。北ドイツ連邦の総説、4月16日昼ハンブルグ市に着く。

4月17日夜デンマーク国に向かう。夜中にキールから乗船し、18日朝コペンハーゲン着。

とこんな調子。本書の中ではイタリア訪問記が楽しい。