『新版 大学生のためのレポート・論文術』(小笠原 喜康、講談社現代新書)を読む。
この本は、論文の書き方についてのマニュアルとある。しかし、主眼は、卒論の書き方にあるようだ。「5.卒業論文の執筆」の章が面白い。「風邪を引かないようにすることも大切である。」なんて。
ところで、次の写真は本書の目次なのだが、章,節番号に全角ピリオドの「・」が右上のグリフを使っている。
本文では、章・節・項の番号の区切りだけでなく、箇条書きの区切りも全角ピリオドである。こういうのは珍しい。
本書の番号書式がそうなっているだけであればブックデザイナーの好みということになる。しかし、論文の《章・節・項の表記法》(p.164)では、章・節・項の表記法として同じスタイルの例が挙がっているので、著者の意図であることがわかる。
恐らく本書は、横書きの原稿で執筆し、章・節・項をピリオドで区切っていたのだろう。それを、縦書き組版の本にした。その際、アラビア数字を全角形とし、同時にピリオドも全角形にしたのだろう。
しかし、次の問題がある。
①ピリオドの幅が場所によって半角幅になったり全角幅になったりと不統一になっている。
②横書きレポートの章・節・項の数字とピリオドはASCIIコードになっているはずだが、縦書きでは全角形になっているためサンプルとしてわかりにくい。
なお、本書全体としてみると、空白(空き量)があまり統一が取れていない。
「p.」のピリオドの後ろが空いていたり空いていなかったり。
著者は「形は中身を決める」と主張して書式についてのルールをいろいろあげているのだから、もう少し体裁にこだわらないと首尾一貫してないのではないだろうか。