『角栄のお庭番朝賀昭』(中澤雄大著、講談社、2012・12・3)を読む

田中角栄さんほど、人間的魅力に富む人物はいないと思う。

この本は、角さんがすでに、自民党政調会長になってからの話が中心なのだが、その後、首相に上り詰め、そして転落する前後、ロッキード事件で逮捕されてからの様子が傍で見ていた人の眼を通して赤裸々に伝わってくる。

楽天的に見ていたロッキード事件で、思わぬ逮捕となったあとは、執着心のとりこになったようだが。

角さんの最大の失敗は、後継者を育てなかったことだろう。田中真紀子さんは地盤を告いだわけだが、組織を引き継ぐ後継者ではない。結局、抜群の結束力を誇った、秘書軍団もほぼ全員いなくなってしまって、最後は落選をしたわけだ。