戦後の漢字・自分の受けた教育の漢字を知りたい

「戦後日本漢字史」(阿辻 哲次著、新潮選書、2010年11月25日)。


1.当用漢字表
S21年11月16日内閣訓令として公布。
1850種類の漢字
康煕字典における部首順で配置
簡易字体131種類
漢字制限の考え方に基づく
ルビ廃止
書き換え(当用漢字に入らない漢字を別の漢字で置き換え)
交ぜ書き(かなで表記)

1.1 当用漢字別表
S22年9月国語審議会に報告
881字の教育用漢字選択
→昭和43年備考欄に115字追加(備考漢字)
→昭和52年に教育漢字は996字に
→平成元年に1006字となる

1.2 当用漢字音訓表

2. 当用漢字字体表
S24年4月28日内閣から告示
723種
活字設計標準

※お気楽な字体標準作り
字源を無視、簡略化不徹底

臭の下は、戦前は犬であった。理由なしに大に変わった。字体表の字体変更は字源をまったく考慮してないものが多い。

3. 人名用漢字別表
S26年5月 92字
当用漢字では、「浩」、「彦」はない。名前に使えなかった。
S53年には法務省に所管が移り、「戸籍法施行規則別表」になる。

4. 新聞業界の漢字
第2期国語審議会の漢字部会に新聞協会から「当用漢字補正に関する新聞社の意見集計」。これを審議して補正案を出す。

28字削り、28字追加の内容

補正案を新聞業界のみ採用した。この結果、政府と新聞業界で漢字の遣い方が異なることになった。

5. 表音派と表意派の対立
漢字廃止から漢字仮名混じり表現へ
S41年第八期審議会で方針転換

6. 常用漢字表の制定
S56年常用漢字表の答申
当用漢字は制限、常用漢字表は目安
本表1945文字、代表音訓配列、当用漢字に95文字を追加。これらは伝統字体から簡易字体へ。
付表に印刷字体と手書き自体の対応表