『アラビアのロレンス 世界史の十二の出来事 権力の偉大と悲惨 中野好夫集 Ⅶ』(中野好夫著、筑摩書房、1984年2月刊)

たった35年前に刊行された本だが、文章が如何にも古色蒼然、大時代風だ。もちろん古典のような文章ではないが。内容も今風ではない。何が違うかというと、SNSに毒された現在あるいは今風の文章では、タメグチ、短文主体なのだが、中野好夫の文章は語り下し風で独特だ。

 

「だが、ザク、ザク、ザク、……いまはもうみじんの疑いもない。ただ与えられた運命に向かって、まっしぐらに進んでいるかに見える、確信に満ちた靴音。」(p.279)なんて。

 

主題も古い話が多いし...

 

最初の「アラビアのロレンス」はなかなか面白い。岩波新書再刊版から収録したようだ。昔読んだような記憶があるような、ないような。自分の最初のロレンス像は中野好夫かも知れない。

 

最近では『ロレンスがいたアラビア』も面白かった。

『ロレンスがいたアラビア 上』2017/1/21

『ロレンスがいたアラビア 下』2017/1/27