「横書き登場」横書きが一般的になるまでに随分と時間がかかっている

1.日本語の横書きが登場したのは、江戸時代の終わり。幕府が開国したころ。最初は右から左へ書き進めるものであった。縦組みの行が進む方向と書き進める方向が同じ右横書きから。

2.明治初期の辞書は横転縦書きで、欧語との共存を図る。横転縦書きは、欧語は左から右へ。日本語を左90度回転して縦書きする。〜大正13年まで見られる。

3.左横書きは明治4年の英和辞書が初めて。欧字との共存のため。

4.左横書きで各種の記号と共存:楽譜、数学、数字、簿記。

5.右横書き:切符、地図など。一般人にわかりやすい。民衆向けのもの。

6.左横書きは西欧の文物を本格的に学んだ人向け。一部のインテリ用途。ハイカラ。西洋文明。

5,6から右横書きと左横書きの使い分けの期間があった。

7.右横書きは縦書きの弱点を補った:見出し、記事のリード、キャプションなど。

8.書字方向スタイル
明治時代は、
・縦書き専用
・縦書き右横書き併用スタイル
・左横書き専用スタイル
の3大スタイルの登場の時期。

9.大正時代
デザイン要素としての右横書き。縦書き専用は姿を消す。
・縦書き(右横書き併用)スタイル
・左横書き専用スタイル
の二つになった。

10.昭和
・左横書きへの統一

11.今後
・左横書き(縦書き併用)時代へ

書名:「横書き登場」
著者:屋名池 誠
発行所:岩波新書
発行年:2003年