『光と色彩の科学』(齋藤 勝裕著、講談社ブルーバックス、2010年10月20日発行)

単色の黄色と混色の黄色がある。単色の黄色はスペクトルで分析された色。それ以上分かれない。混色の黄色は赤と緑を混ぜた結果なので、赤と緑に分離できる。

光に色彩があるのではない。光を感じるのは視細胞。視細胞には桿状細胞と錘状細胞がある。桿状細胞は明暗を判断する。錘状細胞は色彩を判断する。錘状細胞には3種類あり、赤、緑、青の3原色に感応する。その中にあるレチナール分子が光によって化学反応を起こす。色彩は脳で認識する。ヤングの光の共振説:例)赤い色は赤に共振するセンサーの反応を認識する

色立体:色を色相、明度、彩度で表す。マンセルの色立体が有名。JISの色票帳は、色立体の各色に染めた短冊を本に綴じたもの。

グラスマンの等色式:

RR+GG+BB≡C

ほとんどすべての色彩Cは赤(R)緑(G)青(B)の3つの基本刺激の混合で表せる。係数RGBは基本刺激の割合である。 

しかし、スペクトルの青緑Cは、原色の青Bと緑Gの混色より常に鮮やかである。Rを混ぜて彩度を落とさないと等価にならない。つまり:

C+RR≡GG+BB

C≡-RR+GG+BB

CIE(国際照明委員会)のRGB表色系は、可視光すべての色彩を表すための係数R,G,B

CIEのXYZ表色系は、XYZという架空の色彩を使うので直感的でないが数学的に厳密である。Yは明るさのみ、X,Zは明るさのない色彩である。架空三原色=基本刺激XYZ、その刺激値XYZを使うと:

C≡XX+YY+ZZ

XYZは:

X=2.7689R+1.7517G+1.1302B

Y=1.0000R+4.5907G+0.0601B 

Z=0.0565G+5.5943B

刺激値Yは輝度:単位面接あたりで反射する光の強さ。明度と相関関係はあるが比例関係ではない。

XYZを合計1になるように正規化xyz。(z=1-x-y

色度図xyで色を表せる:帆。平面上で色相を表すので、明るさは表せない。

x=y=0.333の点が白色光

主波長(色相)、刺激純度(鮮やかさ)

発光と反射光:赤いネオンは赤い色を発光、赤いバラは青緑の色を吸収

物質の色彩は、入力光から特定の光を除いた反射光が作る色彩である

条件によって色が変わることをクロミズムという。温度で:サーモクロミズム、光で:フォトクロミズム

絵の具と染料、染料は洗っても色が落ちない。藍染めの藍インディゴは酸化と還元で色が付く

分子を分断して色を消すのは漂白

構造色とは分子の構造状態によって現れる色。その発光は干渉による。

・油の虹は薄い膜の状態のとき色がでる。シャボン玉は反射光の干渉による。

・玉虫:キューティクルで反射する光の干渉

空の色は散乱光

暖色・寒色:暖かみを感じたり、寒さを感じる

膨張色・収縮色:明度の低い色は益々収縮する

進出色・後退色:寒色系は後退色

重い色・軽い色:白から黒で体感重量は1.8倍

色彩効果:対比効果とは本来の色と違って見えること。同化効果は近づいて見える。