『血液の不思議 不安と怒りは血を固まらせる』(高田 明和著、講談社ブルーバックス、1990年5月)

かなり内容は難しい話が多いのだが、研究者的な・科学的な観点のみでなく、心の問題も取り込んでいるところに本書の面白さ・あるいは良さがある。

一つには表題にあるように、心筋梗塞脳梗塞のような血栓による症状は、ストレスがあるとより起こりやすくなるということである。コレステロールや脂肪は危険因子で、これらが多いと血栓ができやすくなる(p.124)。

そしてストレスがコレステロール値を高める(p.130)。また、忙しい時には血液が凝固しやすくなる(p.132)。

血管の病変は、高血圧、コレステロール、喫煙、糖尿病、精神的不安定が危険因子である(p.178)。

最後の、ノーマン・カズンズ氏の体験報告は非常に重要である。人の生きる意思は、脳から、下垂体、副腎に刺激を送り、内分泌系に調和をもたらしている(p.226)。

人の心の力を過小評価してはいけない。

このあたりは中村天風の天風哲学の根幹でもあるが、生きる上で気持ちの持ち方が非常に重要なことを示している。