『AIに負けない子供を育てる』(新井紀子著、東洋経済新報社、2019年9月19日発行)

図書館から借りる。待ち行列に入ったのが半年位前で忘れたころに順番が来たのだった。読み始めたがなかなか面白い。
 
リーディングスキルテストの体験版は面白い。 結構自身があったのだけど、28問中正解21問(75%)。70点満点で56点(80%)だった。つまり容易な(割り当て点の低い)問題で間違う傾向があったということ。
 
係り受け解析、照応解決、同義文判定、イメージ同定は各4問満点。推論は2問のみ正解。具体例同定は8問中3問正解。どうやら、推論に問題があるようだ。一つの原因は余計なことを考えすぎるという点もあり。
 
新井さんは、「リーディングスキルテスト(RST)は知識を問う問題ではない」としきりに主張しているが、本書の問題の中には、知識に依存しているものがある。例えば、Q25は約数に関する定義を覚えているかどうかで正しい回答が変わる。知識の有無で正答が変わるということ。(約数が整数にしか適用されないのかどうかで間違った)。
Q15の「国境を超えた難民」にはとても困った。すべての国に国境があるかどうか? あるいは国境とはなにか? パレスチナは国なのか? などの疑問がわいて答えられなかった。(新井さんは、難民が発生するすべての地域には必ず国境があると暗黙に想定している)。難民の定義は、難民条約にある。「他国に逃れた人々」が難民で、「国境を越えずに避難生活を送っている人々については「国内避難民」なのだった。パレスティナは2012年に国相当になったのでたぶん現在は国境がある。しかし、パレスティナ難民が生まれたのは第一次中東戦争の頃なので、「国境を越えたら難民」という定義があてはまらないのではないだろうか。そもそも難民が生まれるような地域は国の統治ができてないんだから。他でも間違ったのは、余計なことをいろいろ考えた。
 
新井紀子さんという人は、知的能力が高いだけではなく、実行力も優れている。いつか、教育のための科学研究所が行っているRSTを受けてみたい。