『現代経済学の直観的方法』(長沼 伸一郎著、講談社、2020年4月8日発行)

なかなか面白い本だが、まるで平家物語を読んでいるようだ。著者はまるで琵琶法師のように経済学を語る。

鉄道の登場で、戦争は近代兵器による物量の戦いとなる。資本主義社会では金融システムが鉄道に、銀行家や財務マンが鉄道網を掌握する参謀本部にあたる。

貯金は社会経済を貧血状態にするが、これは貯金を集めて生産設備に投資すると解決する。

徳川体制は、米を建前上の主力貨幣として扱った。金銀は代用貨幣。米の値下がりを防ぐことがシステム維持の必須要件だった。

1873年恐慌(1873~1896年)は石炭文明の終わり。第2次大戦後の石油文明までが時代の転換期。1990年代半導体文明。

インフレの原因:①紙幣の発行量の増加、②物の供給量の減少、③供給のボトルネックが発生して波及する。インフレは企業家には歓迎、資産家には不利。

自由貿易とは一番最初の梯子に上った者が梯子を引き上げてしまう制度である。

ケインズ経済学は、政府が行う公共事業の効果について学問的裏付けを与えた。乗数理論。貯蓄は有効需要の足を引っ張る。ケインズ政策が暴走すると覚せい剤のようになる。