『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを元に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング著、日経BP社、2019年1月発行)

最初の質問には、3問しか正解できなかった。ほとんどチンパンジー以下(偶然より悪い)レベルである。その理由は自分の思い込みに基づくバイアスにある。世界全体の状況は全然把握していなかったのにも関わらず実態より良くないと考えていたため間違いが偶然よりも多くなった。知識が古いというよりも偏見?

本書では、あらゆる国の専門家から普通の人まで、同じような世界を悲観的に捉える思い込みがあることが、質問に対する正答率で示されている。その理由は知識のアップデートが足りないだけではない。誰でも無意識に、世界の見方に、自分の考え方を反映してしまうのが原因である。

例えば、世界の平均寿命は一人あたりの所得が増えるにつれて長くなる。平均寿命はどんどん長くなっていおり、平均値は70歳を超えている。しかし、これを正答できる人は30%位なようだ。ノーベル賞受賞者の会議でも30%以下である。

本書では、なぜこのようなことが起きるのか。間違った思い込みを排除するにはどうしたら良いかが提案されている。

まず、途上国と先進国という言葉はよくない。レベル1からレベル4までに分類することを提案する。

そして、平均値で比較するのはなく分布で考える。平均値は分布を覆い隠す。

グラフは直線で延ばさない。滑り台形、こぶ形、幾何級数形などもある。

などなど・・・・

(参考資料)

『ファクトフルネス』批判と知的誠実さ: 7万字の脚注が、たくさん読まれることはないけれど | 上杉周作