『株式投資2022 賢い資産作りに挑む新常識』(前田 昌孝著、日経プレミアシリーズ、2021年11月18日)

日本株式の目を覆う惨状

2021年10月26日現在の日経500種平均銘柄の中で、1989年にも上場していた銘柄は323銘柄あり、直近株価が1989年を上回っているのは150銘柄(46%)のみ。95銘柄は半値以下、14銘柄は10分の1以下。

1989年末に上場していた1334銘柄について、2021年9月末の配当込み評価額が元本を上回ったのは522銘柄(39%)のみ。61%は配当を再投資していてもマイナスになる。

2022年4月から東証改革

プライム 株主数800人以上、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上

スタンダード 400人以上、10億円以上、25%以上

グロース 150人以上、5億円以上、25%以上

GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)は公的年金基金200兆円を運用。運用の大半はインデックス。積立金の実質運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保する。

ESG指数に連動する投資を開始。しかし、2020年度はベンチマークを下回った。ESG指数投資は「他事考慮の禁止」に抵触しないか?

議決権行使助言会社、米国ISS、グラスルイスの2社でほぼ100%シェア。2020年11月ドイツ取引所がISSを傘下に収めた。

世界持続的投資連合GSIA。サステナブル投資:ESG統合、ネガティブスクリーニングなど。

アセットマネジメントONEは、ESG投信でお金をかなり集めたが、ESGが付かない昔からの投信と銘柄がかなりかぶり、リターンはほぼ同じ。ESGはテーマ投資ではないか。テーマ投資は高値掴みになりやすい。

選別投資の意味

株価指数に勝てた投信の割合:米国では1年間42%、3年32%、5年27%。

投信が指数に勝てないのは、運用手数料という理由もあるだろうが、むしろ、株価指数はそれ自体に価格上昇メカニズムが組み込まれているからではないか?

あてずっぽうの投資と結果は同じ

2021年9月までの5年間の日本株アクティブ運用投信(小型株と、通貨選択型を除く)383本の年平均リターンは11.79%。無差別抽出では10.92%。もし、大型株をより多くヒットするように無差別抽出すると無差別抽出が年率12.06%となり、無差別の方が良い。銘柄を吟味してもリターンが増えない。日本株アクティブ運用はランダムに選択したのと同等のリターンになっている。

※面白いが、このシミュレーションは本質をついていないのではないだろうか。個別株は安いときに買い、高いときに売るというタイミングが重要。タイミングの選択の上手下手がある。しかし、アクティブ運用投信の成果にはタイミングも入っているのか。

バランス型投信

金融庁も勧めている。資産総額上位100本の運用成績は、2020年の運用成績は平均2.58%、最高12.0%、最低マイナス15.60%だった。(配当込みTOPIXは7.39%。)

2021年は10月末までで平均9.35%、最高23.07%、最低マイナス0.56%。(配当込みTOPIX13.06%。)

GPIFは安定成長型バランス運用:6年累計で31.15%。(株式の半分は国内)。

バランス型投信上位200本で、5年間の運用実績があるのは157本。5年累積リターンはプラス72.72%~マイナス4.95%まで。この間TOPIXは71.75%の追い風だったので割り引いて考えるべき。

クオンツ運用は相場の乱高下で動きが読めない。複雑な運用をする投信は投機商品だ。

バランス投信では固定型の成績が、可変型よりも良い。

株価が半値になれば金融資産の半分は吹き飛ぶ。