日本は2015年頃を境に経済のエンジンが冷える時代に入る。シュリンクする時代に生き延びる企業をどのように作るか?

1月25日(金)は久しぶりに面白い講演を聞いた。

週刊ダイヤモンド編集長で、その後ダイヤモンド社の社長、会長を務めた岩佐豊氏による「これからの10年、勝ち残る企業の条件」という講演です。

3時間たっぷり岩佐節炸裂でした。大よそ次のような話です。

■業界の社数が半分になるとき、売上げを上げるだけではもたない。売上を伸ばすための経営ではもたない。つぶれない会社をどうするか。強い会社になるにはどうするか?
何が強い会社か?

○日本経済の大きな流れ
1960年〜1970 構造調整・不景気
1970〜1989 経済の温度の高い時代
1990〜2000 失われた十年
2000〜2015 経済の温度の高い時代

経済の温度の高い時代と低い時代。現在は日本経済は強いだろうと見ている。

2010年代後半(2015〜)から厳しくなる。

理由は、人口構造的に経済のエンジンができ、エンジンが稼動する。このときが温度の高い時代である。

経済は個人消費を決める。日本はGDPの60%。米国は70%。
個人消費を支える年齢は20〜40。このとき目一杯働いて、目一杯使う。

0〜20歳は先行投資。個人消費を支える年齢と人口が多くなれば、経済の温度は高くなる。どこの国でも同じ。

日本の人口構造のでっぱりがある。団塊の世代団塊ジュニア
・1970年:団塊の世代が20歳
・2000年:団塊ジュニアが25歳。高学歴化でエンジンの稼動は5歳遅れている

日本は1970〜先進工業国
三度目の人口構造のでっぱりはない。
だんだん子供を生まなくなる。
2回のでっぱりを作ったあと、もう子供ができない。老大国に。

中国:でっぱりは30歳。エンジンがあと10年働く
タイも同じ。経済は力強い。

韓国:2000年にエンジンが二十歳
2000万人で高炉がたつ。
4000万人で自動車産業ができる。

商業資本は回収が短期→そのあと工業資本は伸びる→金融資本が伸びる。2000年以降は金融資本が伸びる

金融資本はサービス業で。サービスが価値を生む。サービスが価値を生むというやり方にしないとだめ。良い物を作ってあたりまえのは工業の時代。あらゆる事業がサービスになる。

一回目は百貨店→二回目はカテゴリーキラーユニクロ、家電などのディスカウンター

時代は新しい主役を求めている。
経営と経済の前提条件が変わる。
新しい前提条件に対応した会社が主役になる。
自分の会社が新しい前提条件に対応していない。だから業績が伸びないと考えるべき。
東アジアを経済圏としたときに、われわれはどうやって食べていくのか?

中流が減る経済になる→いいお客さんが減っていく時代。

なぜならば、所得の伸びが鈍化する。中流が落ちていく。
金持ちが増える。

金融資本が伸びる時代は、所得格差が開く時代。
金持ちがより金持ちになる時代。

2015年には個人金融資産は1900兆円。
昔は所得を考える必要がなかった。
いまは、中流を狙うと細くなる。

上か下のどちらを狙う。
金持ちに楔を打ちたい。

ディスカウンターが売上を増やす。
狙う場所を決める。
それにあった形の会社を作る。

減っていく市場で勝つには、会社の違いを出す。

総合という業態が通用しなくなった時代に。総合は負けパターンになる。間口を広げる経営は、減る時代には負けパターン。

間口を広げる経営ではなくて狭める。
いいお客が減る時代は間口を狭める。

企業:工業資本の時代
  10社に7社が利益を伸ばす
  みんなでよくなる
   ↓
今、大勝ちする3社と伸びない7社
  平均値をあげているのは3割が大勝する。
  みんなで良くなるという考え方の人には実感がない。

経常利益1000億円中60〜70社が大勝して全体の利益の60%を占める。平均値に関係なく売上を伸ばす会社を作る。
どうやって顧客を創造するか。平均値に関係なく売上を増やす。気力ではできない。投資しないとだめ。
3割は少数派。みんなと同じところに投資するのはだめ。
少数派が儲かる。違うところに投資する。

または、勝ち組とお付き合いする。ぶら下がり経営。

○営業利益率を上げる

1番手は2番手よりも利益が高い。
1番手にならないと利益は出せない。
成長率から見ると1番手以外は利益がでない。

狭い分野に絞る。
狭い分野で一番になる。
集中して一番をとる。
問題解決。あらゆるお客さんの問題を解決。
事業計画は3年後には1番にする
どこで一番になるか?
評価をいただき、あなたの会社は違いますね、といわれるように。

ブランドを作る
ブランドは口コミだ。
お客さんは冷たい。→狭い範囲で口コミを起こす。

○売る力をつける。
お客さんに一番近いところが決める。
会社としての考え方や哲学を叩き込む。
作る部門では、めいっぱい踏ん張ってどっこいどっこい。
売るところの力の差で勝つ。
ベクトルを揃えることをやり切らないとだめ。
命令で動く組織はだめ
 
○価格が下がるのは
ベルリンの壁がくずれた
5億から10億の資本主義社会

30億の社会主義が資本主義へ入ってきた。
働き手として進入してきた
労働力供給過剰
賃金がずっと下に引っ張られる
価格が下がる方向にあわせるほうがリスクが小さい
需要が増えることが起きないのではないか。
損益分岐点を下げる経営

勝ち負けは、社長の徹底させる経営をやっているかどうか?
しぶとく残っている会社は徹底している会社
会社がもっている何らかの緊張感・やりきったところまでやらないと売上が増えないだろう。

組織のエネルギーが落ちる→雑誌でも売上げが落ちる

時代は主役を待っている。楽ではないが、

市場原理型社会では、やりきった経営者が勝つ。市場原理型社会では理屈どおりにやらないと負ける。