『北朝鮮 核の資金源「国連捜査」秘録』(古川勝久著、新潮社、2017年12月20日発行)

かねてより、北朝鮮がミサイルや核を開発する技術とか資金源がどこから来るかを不思議に思っていた。

この本で、その一部は分かる。技術開発の深部は分からないが、北朝鮮がどのようにして世界中にネットワークを張り巡らし、製品やサービスを提供してビジネス(といえるかどうか)を行っている様子がかなり克明に描かれている。

少し細部に渡りすぎていて全貌が見えないのが弱点ではあるが。目を通すべき一冊。

本書を読んだ印象からいうと、北朝鮮はリーダーが悪いが、国民は非常に優秀で働き者ではないかと思う。もし、自由経済の陣営に入ったら相当大きなポジションを取るのではないだろうか。もしかすると韓国はもちろん、日本も勝てないかもしれない。

北朝鮮の外貨獲得の方法として、次のようなことが分かる。

旧ソ連時代のような数十年昔の戦車、飛行機、ミサイルなど既に北朝鮮以外には修理できないような武器の修理サービス。これはアフリカなどの国ではまだ使われているので、武器の修理サービスを提供する。

ミサイル技術やミサイル、およびミサイルの補修品の輸出。ミサイルはばらばらにバラして輸送し、現地で組み立てる。現地で武器の工場を作り、武器を生産する。こうした武器は旧式だが需要はあるようだ。

工作機械のメーカーもある。鉱物資源があるので生産物を販売している。

ミサイルの部品は、民生品が多いので、武器専用と区別が付きづらい。

移動用の発射台は、林業用の自動車などと偽って輸入して改造する。主に中国から輸入しているようだ。

など。