『貧乏国ニッポン ますます転落する国でどう生きるか』(加谷 珪一著、幻冬舎新書、2020年5月30日)

2018年ワシントンDCの世帯年収中央値は10万2千ドル、ニューヨークは7万8千ドル、シアトルは8万7千ドル、ロスアンゼルスは7万3千ドル。日本では平均値約550万円、中央値は423万円。日本と米国では2倍程度の開きがある。

大卒初任給は米国500~600万円。日本は月収20万円=240万円(この計算はおかしいだろう)。

OECDの調査では、購買力平価のドル換算で、日本人労働者は4万ドル、米国6万3千ドル、フランス4万4千ドル、オーストラリア5万3千ドル。日本と諸外国では1.5倍の開きがある。

日本の物価が安い。日本のディズニーランドは世界で一番安い。中国やタイよりも安い。日本のサービス産業は、安さに惹かれてやってくる外国人を相手にしている。

自動車の平均価格は1990年代200~250万円だったが、いまは300万円を突破している。平均年収はこの間下がっている。

2019年の首都圏マンション平均価格は5980万円。リーマンショック以降1500万円上がっている。低金利で支払金額は減った。6000万円になるとさすがに苦しい。しかし、コストが上がっているので販売価格は下がらないだろう。OECDによると不動産価格はと2000年を100として日本は78.5と唯一下がっている。日本のマンションは世界的にみると安い。

日本の人件費は安くなってきたので、メーカーなどはアジアから日本に工場を回帰させる動きが出ている。過去1年間で国内に戻した2018年度14.3%。中国から日本への回帰が多い。生産性を含めた単位労働コストは中国より日本が安い。

日本の国際的な地位は低下した。競争力ランキングは1989年1位から2019年30位。優秀論文数は低迷、韓国にも抜かれそう。公的年金の状況は悪化。37か国中31位。実質賃金が30年間横ばい。OECDによる相対的貧困率は38か国中下から11番目。

日本経済は過去20年間ほとんど成長できていない。政府の宣伝はうそ。成長への希望がない。日本企業は昭和モデル。大国幻想を捨てよ。成長しなくても良いは成立しない。日本はそもそも経済大国ではなかった。1990-2000年の一人当たりGDP世界一は、為替レートの見せかけのみ。

サラリーマン社長を一掃せよ。

※本書はあまりお勧めできない。ちなみに幻冬舎新書で良い本にあったことがないような気がする。