『戦争と財政の世界史 成長の世界システムが終わるとき』(玉木 俊明著、東洋経済新報社、2023年9月26日発行)

ポルトガルは1415年にアフリカ西北端にセウタをヨーロッパ最初の植民地にする。1488年喜望峰を発見などアジア航路を開拓した。南米ではブラジルがポルトガル領となる。

スペインはコロンブスが1492年新世界発見。新世界へ進出し、1521年コルテスのアステカ帝国、1533年ピサロインカ帝国を滅ぼし、中南米をスペイン領とする。1545年ボリビアポトシ銀山を発見。

17世紀はオランダの黄金時代。1568年スペインからの独立戦争。近代的な財政システムを作った。ネーデルランド北部7州が1581年にユトレヒト同盟を結成。1648年に独立。州が強く、国家としての力は弱い。バルト海貿易、1609年アムステルダム銀行を設立。宗教的寛容策をとり、多様な宗教的バックグラウンドをもつ商人が集う。アムステルダムの1600年居住者の31%のみがアムステルダム出身。海外からの移民が39%と多様で商業情報のハブとなる。

イギリスはオランダを排除する貿易をイギリス船で行う航海法で保護海運業政策をとる。フランスとの覇権争いに勝ち抜く。1694年にイングランド銀行を設立し、同銀行が国債を発行、返済を議会が約束することで戦費調達に成功。イギリスは消費税(間接税)の収入割合が多い。消費税は経済発展にともなって増える。

フランスの税収は地租(直接税)が多く、経済発展しても増えない。フランスはハンブルグとの関係を深める。fランスでは戦争で財政破綻が頻発。フランス革命に至る原因の一つとなる。1815年ウィーン条約ナポレオン戦争終結

かつては国債は戦争に際して多く発行されてきた。現在の日本国債社会保障の目的が多い。

1904~1905年の日露戦争は戦費の78%が公債に依存。高橋是清を欧米に派遣して外債記載を要請。高橋は1903年2月24日ニューヨークに向かう。ニューヨークでは断られ、英国で金利6%で5000万ポンドの起債を認められた。日露戦争の戦費は15.1億円。アジア・太平洋戦争は1554億円。アジア・太平洋戦争国債の日銀引き受けが多かった。国債は戦後のインフレで負担減となった。

現在の社会システムでは国債の発行は経済が成長するならば返済負担が軽くなるという前提に立っている。しかし、経済の拡大が今後も続くだろうか?

【感想】この著者が経済発展の持続性についてアプリオリに疑問をもつ態度は科学的とは言えない。