『バブルの世界史 ブーム・アンド・バストの法則と教訓』(ウィリアム・クイン、ジョン・D・ターナー著、日経BP・日本経済新聞社出版、2023年3月24日発行)

バブルは、市場性、通貨・信用、投機の3要素が揃ったとき何らかの火花で発生するという仮説。

歴史上の12バブルの概要。株と不動産、住宅がバブル資産。株には鉄道熱、自転車熱、ITなど、新技術が関係するものもある。

1719年-20年のミシシッピバブルと南海バブルは政府債務削減が目的。1720年のチューリップバブルは存在したかも怪しい。

米国1920年代の狂騒(1920-31)。金融機関の安定が損なわれる。

日本のバブル(1985-92)は株と土地は純粋に政治の産物。日本のバブル期に設立・上場してうまくいった会社はない。政治バブルは正の外部性が少ない経済セクターにマネーが流入するため社会全体への恩恵が少ない。

サブプライム・バブル(2003-10)は住宅バブル。全米住宅価格指数が2000年からピークまでに8割上昇。アイルランド、スペイン、イギリスでも価格上昇が起きたグローバルな危機。アメリカの銀行と住宅ローン会社が信用履歴の劣るサブプライム層への貸し出し基準を緩和。イギリスのノーザンロックのおまとめローンは個人に対して住宅の資産価値の最大125%を融資。金融工学で住宅ローンの証券化。2006年から米国で住宅ローンの延滞が始まる。ノーザンロックの国有化、ファニーメイフレディマックへの政府管理、リーマン・ブラザーズ破綻。2008年~2009年ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スウェーデン、スイスの銀行が資本注入、政府の融資保証を受ける。

バブルの後の金融危機は6回。サブプライム・バブル、日本のバブルは大きな金融危機を招いた。

テクノロジーバブル(自転車熱、ITドットコム・バブル)は社会に有益だった。

政治が関与するバブルとそうでないバブルがある。