『大量絶滅はなぜ起きるのか 生命を脅かす地球の異変』(尾上 哲治著、ブルーバックス、2023年9月20日発行)

三畳紀末の生物大量絶滅の研究による大地の変化から生命へのつながりを考える。

T/J境界三畳紀ジュラ紀の境界:2億136万年前。

三畳紀最後のレーティアン(2億180万年前~T/J境界まで)に二段階の絶滅が起きた。その最後の絶滅の研究。沿岸環境では2枚貝モノチスやアンモナイトなど多くの動物が小型化から絶滅した。

木曽川のチャート(放散虫の遺骸の堆積岩)は古太平洋パンサラッサ海の深海底で2億5000年~1億7000年前に堆積した地層。コノドントの化石がある。深海域ではコノドント三畳紀レーティアンに小型化して、三畳紀末に絶滅した。

浅海ではメガロドンが小型化して絶滅。

死因の提案:その1海退。ブラックベアリッジ(カナダ)の地層から、海洋酸性化、無酸素化が起きたことが提案されている。空気中の二酸化炭素増で海洋酸性化が起き、炭酸イオンが減り、炭酸カルシウムができなくなる。結果、石灰岩の堆積がなくなる。炭素同位体比で有機物分解がなくなったことがわかる。広範囲の無酸素化が起きた。

CAMP(中央大西洋マグマ地域)の研究。約2億年前にパンゲア大陸がマグマで裂け始めた。ブラジル北部、モロッコ、米東海岸の溶岩・貫入岩の年代は1億9100万年~2億500万年前の範囲。CAMPの三畳紀絶滅説。ただし、三畳紀絶滅より前に噴出した溶岩は見つからず。

T/J境界の天体衝突説。しかし、カナダのマクガニアンクレーター2億1400万年前でT/J境界より古い。新たなクレーター探しで仏ロシュシュアールが候補となる。しかし、ロシュシュアール・クレーターは2億700万年前に形成されたことがわかる。

地球規模で炭素同位体比がマイナスに振れる負異常がレーティアンに3回起きている。

CAMPのとき、地下で固まった貫入岩の形成はファースト~セカンドの間で起きた。アマゾン盆地の黒色頁岩が貫入岩で加熱され二酸化炭素が大量に発生した。

しかし、二酸化炭素が増えたのは、T/J境界の後。二酸化炭素はどこに消えたか?

気候の温暖化、湿潤化で長石の化学風化が進む。そこに二酸化炭素が使われた。

三畳紀末森林消失で土壌流出。森林消失の原因は火災?