本書はハイブリッド戦争を外交政治面で位置付けることを目的とする。ハイブリッド戦争は2013年11月のウクライナ危機でロシアが使って注目を集めた。
武力対決以外に、政治、経済、プロパガンダ、心理戦、テロのようは非対称戦争、サイバー戦、民間軍事会社(PMC)などを組み合わせる。低コストで大きな効果が得られる。
2020年10月19日英外務省は、ロシアの情報機関ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が、東京オリンピック・パラリンピックを狙う目的のサーバー攻撃を行っていたことを発表した(p.11)。
近年のロシア外交は領土拡大を目指しておらず、相手国への精神的ダメージや同盟関係への打撃に重点を置いているようだ。
本書で取り上げているのは、ロシアが中心になって行うハイブリッド戦争であるが、対象は、北極圏、中南米、中東、アジアからアフリカまで広範囲にわたる。