一般人に経済学の基礎的な話を説明しようという企画によって出版された本。日本ではなかなかこうはいかないかもしれない。
内容はあまり目新しいものはないが、いろいろ逸話がのっているのが楽しい。一番かわいそうな例はイスラエスに住む女性が母親にマットレスをプレゼントした話。捨ててしまった母親の古いマットレスには人生で稼いだ100万ドルが現金で縫い付けられていたため100万ドルが失われたという。なぜお金を銀行に預けないのか? 銀行の役割の一つにお金を安全に預かるということがあるという説明としてはこれ以上ないほどの適切な例かもしれない。
こうした逸話が随所にあるのは読んでいて楽しい。それにしても、イングランド銀行は総裁が市民パネルに出席するとはなかなかのもの。日銀の総裁も統計データをみるだけではなく、市民パネルで市民の声をきいたらどうだろうか。