半導体市場=製造装置+素材・材料

製造工程

イラストで分かる半導体製造工程|半導体業界研究サイト「SEMI FREAKS」

マスク製造:回路設計、フォトマスク作成

ウェーハ製造:シリコンインゴット、シリコンインゴット切断、ウェーハ研磨

前工程:ウェーハ表面酸化、薄膜形成、フォトレジスト塗布、露光・現像、エッチング、レジスト剥離・洗浄、イオン注入、平坦化、電極形成、ウェーハ検査

後工程:ダイシング、ワイヤーボンディング、モールディング、最終検査

製造装置

半導体、中国との分断進む 日米の装置輸出2022年は減少 - 日本経済新聞

日本の半導体製造装置、世界シェア低下に次世代技術で立ち向かえ

「露光装置」「エッチング装置」「成膜装置(CVD装置)」

オランダASMLや米Applied Materials(アプライドマテリアルズ)、米Lam Research(ラムリサーチ)

エッチング装置:東京エレクトロン(ラムリサーチに次いで2位)

ダイサー:ディスコが1位、東京精密2位

枚葉式CVD:東京エレクトロンアプライドマテリアル、ラムリサーチに次いで3位)

テスター:アドバンテスト(テラダインに次いで2位)

パッケージング(後工程)が注目。

半導体・製造装置メーカー売上高ランキング(Wikipedia)

VLSIリサーチ発表、2019年東京エレクトロン3位

2022年第1四半期の半導体製造装置メーカー売上高Top10、2位にTEL CINNO Research調べ | TECH+(テックプラス)

1.Applied Materials(AMAT):半導体プロセスのほぼ全体をカバー

2.東京エレクトロン(TEL):コーター・デベロッパー、熱処理装置、ドライエッチング装置、CVD装置、ウェット洗浄装置、検査装置

3.Lam:エッチング装置、薄膜堆積装置、および洗浄装置

4.ASML:露光装置

5.KLA:欠陥検査、膜厚測定、CD測定、重ね合わせ精度測定など半導体工程検査・測定装置で強み

6位はSCREEN、7位は日立ハイテク、8位はアドバンテスト、9位はディスコ

素材・材料

2019年 半導体シリコンの業界動向①売上金額シェア・メーカー動向 - ジェイチップコンサルティング株式会社

シリコンインゴット:信越化学とSUMCOの2社で、両社は市場の50%以上のシェアを持っている。他に、MEMC、シルトロニック(独)

Siウエハの生産状況と今後の展望 | 特集 | 半導体/MEMS/ディスプレイのWEBEXHIBITION(WEB展示会)による製品・サービスのマッチングサービス SEMI-NET(セミネット)

2020年のSiウエハの世界シェアは、日本の信越化学工業が1位で31.0%、SUMCOが2位で23.8%、台のGlobal Wafersが3位で15.7%、韓国のSK Siltronが12.3%、Global Wafersと合併した独Siltronicが12.1%で続いている。

【2022年版】シリコンウェハ製造メーカー7社一覧 | メトリー

長野電子工業、信越化学、メルセン・エフエムエー、グローバルウェハーズ・ジャパン、トリニティー、キャノシス

初潜入、SUMCO半導体ウエハー工場 奇跡の現場: 日本経済新聞

信越化学とSUMCO、サムコの違いと比較 – かいとビジネス

シリコンウエハー業界の再編が進み信越化学とSUMCOがさらに絶対的な存在に! | ポジテン

半導体ウエハー出荷量・金額が最高、22年SEMI調べ SEMIは23年のウェーハ出荷量を前年割れと予想している。

半導体メーカー

世界半導体生産能力、57%をトップ5社が占める

Samsung ElectronicsSamsung)韓国

TSMC 台湾

Micron Technology アメリ

・SK hynix 韓国

・キオクシア/Western Digital 日本

Intel アメリ

半導体メモリ3強

2022年10-12月期 SKと米マイクロン・テクノロジーが営業赤字に転落し、サムスン電子半導体部門も10~12月期に営業利益が前年同期比97%減と振るわなかった。

キオクシア再編 米WDや韓国SK、メモリー不況の打開探る - 日本経済新聞

動向

サムソン半導体は23年1~3月速報で売上49%減。メモリ在庫が積みあがり価格下落。1~3月期底。12月迄赤字が続く見通し。メモリーを減産する予定。

サムスン営業利益96%減 1〜3月、半導体不況が直撃 - 日本経済新聞

インテルの2022年通期売上高は前年比20%減、01年のドットコムバブル崩壊以来、最悪の落ち込み。PC向け半導体部門とデータセンター向け半導体部門で減収続く。1-3月期決算について40%の減収を予想。

米半導体TI、逆風しのぐ「アナログ」の強み 利益率4割: 日本経済新聞

TIは自動車向けの半導体が多い。

2ナノ半導体は世代の代名詞だ。

AppleiPhone 14 Pro Max」のSoC(System on a Chip)はトランジスタ約160億個を内蔵する。EUV(極端紫外線)は現在の液浸ArF露光装置比で波長約10分の1。2023年2月時点ではASMLのみ製作可。1台数百億円納期2年。

ラピダスは半導体製造。

ラピダスが目指す2nm世代のGAAって何?、半導体微細化10の疑問 | 日経クロステック(xTECH)

米国の対中半導体輸出規制強化がもたらした衝撃 最先端半導体は「勝負あったか」(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

半導体株、市況底入れ先取り 資金集中に過熱感も - 日本経済新聞

半導体不況下で69%成長のなぜ、戦略変更が奏功のソシオネクスト | 日経クロステック(xTECH)

半導体製造装置、世界売上高を下方修正 業界団体23年予測 - 日本経済新聞

台湾IT産業、過去10年で最大の落ち込み 6月は2割減収 - 日本経済新聞

半導体需要に底入れ感 10〜12月、製造装置の投資は鈍く - 日本経済新聞

TSMC Revenue Report

https://pr.tsmc.com/english/news/3010

関連書籍

『よくわかる最新パワー半導体の基本と仕組み 第3版』(佐藤 淳一著、秀和システム、2022年6月10日) - anone200909’s diary

 

 

『孫子—「兵法の神髄」を読む』(渡邉 義浩著、中公新書、2022年11月25日発行)

孫子と言われる人物は二人いる。

孫武春秋時代の呉で活躍した。前6世紀頃。

孫臏—戦国時代の斉で活躍した。前4世紀頃。

現在の『孫子』は三国時代曹操(155-220年)が定めた魏武注版。

全13篇。

国、王、将、兵士、などについて、現在にも通じる合理的なものの考え方をしている。

 

『ベリングキャット デジタルハンター、国家の嘘を暴く』(エリオット・ヒギンス著、筑摩書房、2022年3月30日発行)

ベリングキャットとは猫に鈴をつけるの意味。

クレムリンは情報操作の4Dを活用する。否定(Dismiss)、歪曲(Distort)、目眩まし(Distract)、恐怖(Dismay)。

ネット上の主張は仮説でしかない。それぞれの人が補強証拠を見つけて裏付けをとって検証する。

2014年7月17日マレーシア航空17便の撃墜事件が、ロシア軍が分離独立派に提供したミサイルによるものであることを示す。<ブーク>ミサイル発射装置がどこからどのようにウクライナの発射地点に運ばれたか、誰が関与していたかの追跡調査についての紹介がもっとも印象に残る。

ソールズベリーの元GRU将校スクリパリ暗殺未遂事件の犯人捜し。

アレクセイ・ナワリヌイ毒殺未遂事件。

ロシアの悪行の例が目立つ。

『世界インフレの謎 そして、日本だけが直面する危機とは?』(渡辺 努著、講談社現代新書、2022年10月20日発行)

2008年のリーマンショックを契機として不況が発生し、世界が低インフレとなった。グローバリゼーション、少子高齢化、技術革新の頭打ちが要因として挙げられている。

ウクライナ侵攻前の2021年から高インフレが始まっている。戦争が主な原因ではない。2022年夏時点で米欧のインフレ率は前年比8~9%。うち、戦争に起因する部分は1.5%程度である。2022年のインフレ率予想は2021年春頃からどんどん高まってきた。各国の中央銀行は、当初、この物価上昇は一時的であるとしてきた。しかし、インフレは一過性ではないと認めざるを得なくなり、BOEが先陣を切って2021年12月に利上げを開始した。

パンデミックによるサプライチェーンの分断、商品の品薄、価格高騰が起きた。さらにパンデミックが落ち着いてきてからインフレが進んでいる。パンデミックとインフレにはタイムラグがある。2020年から21年にかけて、COVID-19による巣ごもりがあったが、感染状況が落ち着いても経済はもとに戻っていない。パンデミックの前後で、資本、労働、技術はそれほど変化していないのに、なぜか?

生産が回復していない。人々の経済行動が同期して変化した。同期がうねりとなっている。「巣ごもりが終われば経済は元どおりになる」は経済学者が信じたがっていることに過ぎない。人々の行動が変容した。

日本を除く世界の中央銀行は前のめりの金融引き締めを行っている。しかし、インフレを予想していなかったし、フィリップス曲線が役に立たなくなってしまったため、自信をもって引き締めを行っているわけではない。2021年4月以降のインフレと失業率の関係は従来とは全く変わっている。このためインフレの読みができない。利上げが泥縄式の対応になっている。

パンデミックは2020年のGDPの減少をもたらした。日本は-5.9%。米国は6.36%。主にサービス消費に影響大。その度合いは政府の介入の強さ、死亡率にはあまり関係ない。恐怖の伝搬が原因だろう。日米ともに人々は外出を半減したが、政府の介入の影響はそれほど大きくない。恐怖心が主な原因だろう。

米国2020年1月のインフレ予想は2%、パンデミックが始まって低下したが、2021年から米国ではインフレ予想となり、12月末では3%となる。大離職がその背景にある。2022年はパンデミック後遺症としてのインフレになっている。

パンデミックを境に、世界経済は低インフレ下の需要不足モードから供給不足モードに変化した。需要が強すぎるのか、供給が少なすぎるのか? 今回のインフレは供給が少なすぎるためだろう。これは利上げでは解決できない。利上げで需要を落とすのは、縮小均衡に向かうので好ましくない。供給不足に起因するインフレ対処には中央銀行の出番はない。

1971年の金とドルの交換停止(ニクソンショック)で、ノミナルアンカーがなくなり1970代はインフレの時代となった。1979年ボルカーの利上げでインフレが収まった。その後はインフレターゲティングで物価を制御するようになった。5年後のインフレ予想は2022年でも2.5%にとどまる。しかし、現実にはインフレが起きている。供給サイドが原因で起きるインフレは現在の物価理論の盲点である。

米国ではサービス経済化が、反転している。ものの消費が増えた。ものの価格は上がったが、サービス価格が硬直的なため。

工場の操業停止で自動車が作れない、物流の停滞などの供給網の機能不全を経験して、脱グローバル化が始まっている。2008年を境に世界貿易のGDP比の伸びが止まった。グローバリゼーションはインフレ率低下の大きな要因だったが、これからは多少高くなっても近くで作るようになる。これはインフレ率上昇要因となる。

現在の世界のインフレは、新たな価格体系への移行の途中で起きているのではないか?

日本はもっと複雑。海外からの輸入物品によるインフレの波=急性インフレと、慢性デフレが同時進行する状態となった。物価は上がるのに賃金が上がらないという最悪の状態となる瀬戸際に立っている。

『徳川家康の決断 桶狭間から関ケ原、大坂の陣まで10の選択』(本多 隆成著、中公新書、2022年10月25日発行)

日本史研究はもう進展の余地が少ないのかと考えていたが、本書を読むとそうでもないようだ。例えば桶狭間の合戦。信長は2000人の動員で、今川の2万5千人とも言われる大軍との戦い。従来は迂回奇襲説が信じられてきたが、しかし正面攻撃説が受け入れられるようになってきた。合戦当日の降雹・氷雨により、今川軍は低体温症となって運動能力が低下、火縄銃も使えず。それに対して、織田軍は砦にいたため氷雨を避けることができたという。

 

『デマの影響力』(シナン・アラル著、ダイヤモンド社、2022年6月7日発行)

ハイプとは感情を刺激する広告。フェイスブックで感情を刺激するメッセージは投稿を促す。感情を広める。(p.292)

Twitterで2014年2月~3月にかけての2か月間、部分的に真実・部分的に嘘のニュースの拡散が急増した。クリミアの併合が起きたタイミングである。クリミア併合が終わるとなくなってしまった。

2019年4月「モラー報告書」にはロシアがハイブ・マシンを利用して2016年のアメリカ大統領選挙を操作したことが書かれている。ロシアのインターネット・リサーチ・エイジェンシー(IRA)がSNSに偽アカウントを作りフォロワーを集めた。偽アカウントでフェイクニュースを流した。主要な激戦州の少数ながら効果の高そうな有権者に的を絞ってフェイクニュースを流す作戦。

はしかワクチン拒否はアンドリュー・ウェイクフィールドの『ランセット』誌への誤った論文が原因。フェイスブック上での反ワクチンのフェイクニュース拡散。情報源は少なく、わずかな反ワクチンページで上位投稿の多くが占められる。SNSは似たような人が結びつきの強いネットワークを構成する傾向があり、エコーチェンバーになる。

Twitterのニュースの包括的データベースからニュースのリツイートの流れ=カスケードを作成する。フェイクニュースは真実のニュースよりも遥かに速く、広範囲に広がる。フェイクニュースを発信する人のほとんどはフォロワーが少なく、フォローする人も少ない。なので、フェイクニュースが広がるのはニュースそのものの力による(p.98)ボットの力が大きい。初期の段階ではボットがリツイートする。ボットのツイートには、トランプのような有名人のアカウント名を含む。それをさらにリツィートするのは人間である。

新規性があると驚き・嫌悪感があり、リツィートしやすい。

ディープフェイク:本物そっくりの偽の映像や音声を作り出す技術。GAN:敵対的生成ネットワーク。

PYMK:知り合いかもアルゴリズム。PYMKは閉じたネットワークを作りやすい。クラスター内の人間関係は濃くなり、内部での情報伝達は速くなるが、クラスターを跨ぐ情報伝達は遅い。フェイスブックの急成長と政治的な分極化が進んだ時期は気味が悪いほど一致している。

コンテンツの供給量が増えるとハイブ・マシンはコンテンツに優先順位を付ける。フィード・アルゴリズムは何をいつ知るかの大部分を決めている。予測モデルによってコンテンツにユーザー毎の適合性のスコアを与える。コンテンツに対する、いいね、シェア、コメントなどが行動。過去の行動から、コンテンツに対する行動を予測する。判断基準は、投稿者、何に対するコンテンツか、動画があるか、など。

「いいね」はドーパミン報酬系が活性化する。ソーシャルメディア・メッセージへの脳内反応から、行動変化、シェアするかどうかをかなりの精度で予測できる。ハイプ・マシンの力の源は人間の脳の性質である。(p.200)

ネットワーク効果:直接の効果は、つなぐことで生まれる価値。これにより、質的に劣るネットワークであっても先行することで勝つことがある。

フェイスブックがなぜマイスペースに勝ったのか? フェイスブックは大学というニッチな市場から入った。ローカルなネットワーク効果が大きかった。社会的な繋がりが強く、近接性が高いユーザーだ。マイスペースは誰でも参加できたためか、ユーザー間のつながりが緩かった。

ハイブマシンのエンジン。人々の行動を変える力をリフトという。メッセージの引き起こした行動変化がリフトである。どのメッセージがどの程度行動変化に貢献しているかを調べることをアトリビューション分析という。ハイブマシンのリフトを調べるには、他の要因が同じである集団で比較する。このためには、無作為抽出、または自然実験が必要。

コンバージョン率:モノの広告を見てサイトを訪問した人のうち、実際にモノを購入した人の率。

デジタルマーケティングは、ソーシャル広告、ディスプレイ広告、モバイル広告などのマルチチャネルを使う。こうしたチャネルを統合し、マーケティング活動を最適化するには統合デジタル・マーケティングを使う。ディスプレイ広告を見た人は、検索する可能性が高まり、検索クリック率やコンバージョン率も上がる。ディスプレイ広告と検索広告には相乗効果がある。

いまだにマーケットをセグメント化して消費者に相対する考えは30年遅れている。現在は、個人に合わせたメッセージの発信を行う。

予測モデリング:個人レベルのデータを利用して一人一人の消費者のコンバージョン率を予測する。リコールは予測モデルで見つけたコンバージョンの可能性の高い消費者の数を、実際にコンバージョンの可能性の高い消費者の総数で割る。(カバレッジか?)プレシジョンは予測モデルで選び出した消費者の中に、コンバージョンの可能性の高い消費者がどの位いるか。(効率?)リコールとプレシジョンを組み合わせてROCという指標を作る。

実のところデジタルマーケティングはそれほど効果がない。リフトは過大評価されている。何もしなくてもある行動をとる可能性が高い人に、わざわざその行動をとるように促すメッセージを送る恐れがある。これは無駄である。人の行動の変動可能性が大きいので広告効果を精度高く調べるのは難しい。

P&Gは、デジタル広告を頻度からリーチに重きを置くように変更した。また、より的確な人に広告を出すようにした。こうして広告費を大幅に減らして、売上を増やした。

フェイスブックの2010年中間選挙、ニュースフィードのメッセージ一つに投票率を0.6%押し上げる力があった。2012年大統領選挙では0.24%。既に投票を済ませた人のプロフィール画像を加えると投票率が0.39%アップする。

ストラバで、グループ活動は一人の活動より距離が伸びている。自転車の平均走行距離は52%増、ランニングは20%増。これは相関関係である。スポーツは伝染するか? デジタルネットワークで天候の影響を見る。ランニングの伝染性は非常に大きい。

ウィーチャットでの「紅包」(ホンバオ)のやり取りはモバイル決済のかなりの部分を占める。ホンバオをもらうと他の人に恩送りする傾向がある。(p.290)

ネットワークターゲティング:個々のユーザーが興味を持ちそうな情報を予測して提供する。類は友を呼ぶ。ネットワーク上の隣人が既に製品を使っていると効果が大きい。

リファラマーケティング:ある人の嗜好は友達の影響で変わる。友人紹介という口コミ。ウーバーの友達紹介プログラムの報奨金で多額の収入があった例。テスラ。アマゾンのプライムなど。お人よしインセンティブ(紹介した相手が利益を得る)の効果が大きい。(p.303)

ソーシャルアドバタイジング:コンテンツを提供する際に、それに対する社会的評価の証明を同時に提供する。メッセージの説得力が劇的に上がる。食、ファッション、自動車、宝飾品などは「いいね」を押した友達の名前を出すと効果が大きい。クレジットカードやEC市場はあまり効果がない。

バイラルマーケティング:社会的影響に頼る。推薦を招待か通知かで変えてみる。招待の方が影響力は大きいが、通知の方がボリュームが大きい。ローカルネットワークの効果は大きい。

バイラルデザイン:口コミで影響を受けやすい商品をデザインする。キリスト教もその例。(p.321)

インフルエンサーマーケティングインフルエンサーは道具をうまく使いこなせる人。ポピュラリティ(人気度)とエンゲージメント(フォロワーを動かせる割合)で測る。影響力の大きい人は他人から影響を受けることが少ない。

反射問題:その場にいる人が一斉に傘をさし始めたとすると、お互いに影響を与え合ったからではないだろう。ダイナミックマッチド標本推定。他の消費者からの影響と消費者の同質性や交絡因子を切り離すことの重要性。

アテンションエコノミー:注目が価値を持つ。割安で注目を集められるチャネルで公告する。パーソナライズド広告が一般に価値が大きい。人口統計データによるセグメント化は時代遅れで、マイクロターゲティングを行うべき。トレンド独裁。トレンドになりやすいトピックは総じて、注意を引きやすく、衝撃的なもの、感情を掻き立てるものである。ロシア政府のボットネットによる#ReleaseTheMemoのトレンド化。

群衆の知恵と狂気。群衆の知恵が正しいための3条件:①群衆を構成する人々が多様である、②それぞれに独立している、③全員が平等に意見を言える。SNSはこれらを損なった。個人の判断が個人のものと言えなくなった。

評価について。先行する評価がその後の評価に影響を与える。特に先行する高評価がその後の評価を高める。(pp.391-392)星評価はJカーブとなる。

分極化:アメリカ人は均質な意見をもった二つの集団に分かれた。集団内では誰もが支持する企業、党が同じで、反対党に対する感情もほぼ同じ。フェイスブックが設立された2004年以降に差異が生じたようだ。(p.406)世界の多くの国で同じ現象が起きている。原因は何か? 現在のハイプマシンは群衆の知を支える3条件を損なうような仕組みになっている。

 

『欧州分裂クライシス ポピュリズム革命はどこに向かうか』(熊谷 徹著、NHK出版新書、2020年3月20日発行)

2020年1月31日英国が欧州連合EU)を離脱。離脱推進派は、ブレグジット党のナイジェル・ファラージボリス・ジョンソン首相。2016年の国民投票による。

ファラージは、2006年から2009年、2010年から2016年まで英国独立党(UKIP)の党首を務めた。欧州統合に反対。EUは英国の自由を奪う有害な存在と主張。UKIPは2010年の欧州議会選挙で得票率16.6%に倍増、第二党となる。キャメロン首相(2010年~)はUKIPの圧力に屈して国民投票を約束する。UKIPは2014年欧州議会選挙で27.7%を取りトップとなる。2018年UKIPで極右の勢力が増えたため、離脱してブレグジット党を結成。2019年5月の欧州議会選挙でブレグジット党は30.5%の得票率。

離脱派(ヴォート・リーブ)の重鎮ボリス・ジョンソン日和見で事実を重んじない傾向がある。離脱派は外国人への反感を煽り、EUへの拠出金の大きさを訴えた。しかし、事実に基づいていない点が多かった。東欧からの労働移民の急増で英国労働者に不安感があった。ファラージは難民の写真を使って不安感をあおった。

ブレグジット直接民主主義の危険性を示す例である。

欧州統合はエリートのプロジェクト。

ドイツでは、「ドイツの為の選択肢(AfD)」が躍進。2017年の総選挙で、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、ドイツ社会民主党SPD)といった伝統政党に次ぐ第3党となった。メルケル政権への抗議としてAfDに投票する人が多かった。AfDはナチスの過去との対決を疑問視する政党。AfDの最右翼「翼」。AfDはもともと反EUの穏健政党だったが、右翼が支配するようになった。

2015年のシリア難民危機でメルケル超法規的措置により、2年間で122万人の難民が亡命申請した。この間米国は43万人、フランスは12万人である。ドイツだけが大規模な受け入れを行い、社会の不安を招いた。難民は失業者より優遇されているという妬みもある。

東ドイツにAfD支持者が多い。東ドイツの労働者はドイツ統合時の被害者意識がある。西ドイツと東ドイツではドイツ人意識が違う。社会主義時代の東ドイツではナチスへの犯罪との対決を行ってこなかった。ネオナチの増加。排外思想がある。

ネットの世界でのフェイクニュースヘイトスピーチの増加で言葉の暴力が増えている。