『米中戦争 「台湾危機」驚愕のシナリオ』(宮家 邦彦著、朝日新書、2021年10月30日発行)

米中戦争は台湾に関連して起こる可能性が大きいとして、どのようなケースでどのような危機が起きるかを分析している。

抽象的な議論であまり面白くはないが、こういう検討も必要かしれない。

なお、本書を読んで初めて知ったことがいくつかある。

まず、台湾が実行支配しているのは台湾本島の他に、澎湖列島(台湾本島の西隣)、金門島、馬祖列島、大平島(南沙諸島の一つ)、東沙諸島がある、ということ。

それから、台湾有事で独立宣言すれば米国(日本も)支援しにくくなるという分析だ。台湾有事では、被害者としてふるまうべきという分析だが。国際社会がどの程度頼りになるのか疑問にも思う。

あと習近平中国共産党創立100年記念式典での演説の訳文(pp. 105-109)が参考になる。中華民族という言葉が頻繁に出てくるが、なぜ、中国人民だけでなく中華民族を持ち出すのか? 中国共産党というからには、本来、中国人民のみでよいのではないかと思うが。