著者は東京銀行、のちの東京三菱UFJ銀行で国際金融マンとして30年間を過ごした経験から国際金融論を語る。
米国はニクソンショック(1971年)でドルと金との兌換を停止。ドル本位制に移行した。
ドル本位制には①価値基準の喪失、②通貨供給量の管理ができない、③新興国に適正な為替相場制度がない、④最後の貸し手がいない、という問題がある。
独立国家の主権の一つに通貨主権がある。しかし、著者は日本が米国の主導するドル本位制を唯々諾々と受け入れて、円高を受け入れ、この20年間一人負けの状態であったと主張する。
そして、今後は、日本は通貨主権を強化するとともに、アジアに目を向けて円をもっとドルから切り離した基軸通貨の一つとして展開するべきという。
といっても円単独ではなくて、チェンマイイニシアティブの延長として、いくつかの通貨とバスケット方式が良いという。