『医療崩壊 真犯人は誰だ』(鈴木 亘著、講談社現代新書、2021年11月20日発行)

2020年新型コロナウィルス患者を受け入れて治療にあたった病院は医療機関のごく一部だった。

国立病院、旧社保庁系病院(地域医療機能推進機構)のコロナ病床数は利用可能な病床数の5%程度、国立大学病院のほとんどは第3波の最中でも10人以下のスタッフの受け入れのみだった。

2020年4月1日時点で日本医師会は「医療危機的状況宣言」を行う。

第3波、2021年1月11日から17日にかけて「救急搬送困難事案」は3,317件、前年の2.2倍となる。

第4波2021年4月英国株(α株)。2021年夏インド株(デルタ株)。第5波まで病床確保数が大幅には増えなかった。ワクチンと人流抑制策に頼る。

世界に比べてけた違いに少ない感染者数に関わらず医療崩壊の危機になった日本。ドイツ、イギリスでは医療崩壊は起きていない、アメリカやイタリアも当初は医療崩壊が発生したが、その後は病床を増やして乗り切った。

日本は病床大国。人口1,000人あたり病床数12.8は、先進国平均4.4を大幅に上回る。病床は沢山あるのにコロナ感染者のために確保された病床は入院確保で4%しかなかった。

容疑者は、

少ない医療スタッフ。勤務医は足りない。

多すぎる民間病院。諸外国のように行政から命令を出せない法制度に問題あり。また経済的インセンティブの設計が良くなかった。

小規模な病院。主犯級の問題。

フル稼働できない大病院。大病院にコロナ患者を集約し、回復したら小病院に転院させる対応策がよいが、連携ができない。

病院間の連携ができない。主犯級の問題。

地域医療構想の呪縛。地域医療構想は見直しが必要になった。

政府のガバナンス不足。国と地方の役割分担の曖昧さは主犯。