『世界一やさしい 株の信用取引の教科書 1年生』(ジョン・シュウギョウ著、ソーテック社、2015年9月30日発行)

信用取引の方法を分かりやすく解説している。信用取引の始め方の説明としては分かり易くていいが、本書の売り買いのポイントを実際に応用できるかどうか? あまりにも株価の変動パターンを固定化しすぎているのではないか?

本書は基本的にチャートの形で判断することを勧めている。しかも、25日線、75日線で売り買いのポイントを見つけようとしている。25日移動平均線は今日の株価を25日前の株価と比較した線であり、75日線は今日の株価を75日前の株価と比較している線である。この上がり下がりをポイントにするということは、株価の変動を25日、75日前と比較することを暗黙に想定している。

例えば、下降1回目の空売りポイント(p.136)は「上昇の勢いがなくなり、これから下げ始めるかもしれないポイント」は理想的だが、実際に見つけるのは難しい。株価が「75日線」に近づき、上から下に抜けるポイントは、ちょっと非現実的だと思う。まず、これは株価の周期を75日~15週~約3カ月強とみていることになるが、そのような固定的な周期で変動を見るのが妥当なことはめったにないと思う。