2022-01-01から1年間の記事一覧

『不動産の未来 マイホーム大転換時代に備えよ』(牧野 知弘著、朝日新聞出版、2022年3月30日発行)

不動産のバランスシート 資産側:住宅 負債側:ローン+自己資本 住宅の価値が落ちても債務超過にならないために自己資本が40~50%位欲しい。住宅ローンではこの原則が無視されている。 「そのとき、その場で、必要なスペースを利用する」という考え方の普…

『医療崩壊 真犯人は誰だ』(鈴木 亘著、講談社現代新書、2021年11月20日発行)

2020年新型コロナウィルス患者を受け入れて治療にあたった病院は医療機関のごく一部だった。 国立病院、旧社保庁系病院(地域医療機能推進機構)のコロナ病床数は利用可能な病床数の5%程度、国立大学病院のほとんどは第3波の最中でも10人以下のスタッフの受…

『ワクチンの噂 どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』(ハイジ・J・ラーソン著、みすず書房、2021年11月10日発行)

ワクチンと噂、ソーシャルメディアの影響について 戦争期は世上の不透明さ、不安で噂が広まりやすい。噂は感染症の状況では「警告」となる情報を伝えることもある。2014年エボラウイルスの流行では噂が飛び交い、公衆衛生上の対応が遅れることがあった。2015…

『ロボットと人間』(石黒 浩著、岩波新書、2021年11月19日発行)

人間に似たロボットを開発し、それを用いて人間を理解しようとする。構成的方法。2000年頃から人と交わるロボットの研究が盛んになり、その実用化に挑戦する企業も多い。しかし、まだ大きな成功はない。 リモート会議システムは新しいアイデアを出したり、説…

『人類の起源』(篠田 謙一著、中公新書、2022年2月25日発行)

DNA解析技術の進歩で、古代DNA研究が活況を呈している。ホモ・サピエンスは約20万年前にアフリカで生まれたのは定説。DNA解析ではネアンデルタール人の祖先とホモ・サピエンスが分かれたのは60万年ほど前であることが分かった。 ホミニンは属が異なる種を含…

『自滅する中国 なぜ世界帝国になれないのか』(エドワード・ルトワック著、芙蓉書房出版、2013年7月29日発行)

中国の経済的発展に伴い、軍事予算も相応に増えて、軍事的な大国になり周辺国が脅威を感じるようになる。そして、周辺国が、その脅威を減らす方向で互いに同盟を結ぶようになっている、という主張を行っている。 キーワードは大国の自閉症。巨大国家のリーダ…

『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』(廣瀬 敬著、講談社ブルーバックス、2022年1月20日発行)

地震波には横波と縦波があり、初期微動は縦波、主要動は横波。横波は液体中を伝わらない。マントルは横波を伝える。マグマは深いところから上がってくる。 地球の半径は6370km、地殻(厚さ6~30km)、地殻の下がマントル(地表から2890kmまで)、コア(外核…

『ヨーロッパ冷戦史』(山本健著、ちくま新書、2021年2月10日発行)

北大西洋条約。1949年4月、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、イタリア、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、アイスランドの12か国で調印。北欧から地中海まで相互防衛の軍事同盟。北大西洋条約機構(NATO)とな…

『ラストエンペラー習近平』(エドワード・ルトワック著、文春新書、2021年7月20日発行)

さすがに戦略家というだけあって着眼点・分析力がなかなかスゴイ。 中国では、共産党が国家を領導するので、共産党中央委員会総書記が国家主席より上位である。総書記は7人の中央政治局常務委員から選ばれるが、国民による投票は行われないので国民の信任が…

『アフガン侵攻 1979-89 ソ連の軍事介入と撤退』(ロドリク・ブレースウェート著、白水社、2013年2月10日発行)

ソ連第40軍と航空部隊は1979年12月25日アフガニスタンに侵攻を開始し、1989年2月までに主力軍は撤退を完了した。 1973年7月ダウドは共産主義将校の支援を得て、無血クーデターによって国王を退位させる。ソ連はダウドを支援し友好関係を結ぶ。しかし、徐々に…

『刑事弁護人』(亀石 倫子、講談社現代新書、2019年6月20日発行)

警察が捜査対象者やその関係者の車両にGPS端末をくっつけて行動を追跡していた。 このような捜査手法が合法かどうかについて争い、最高裁判所の大法廷において、違法であるという判決を勝ち取った弁護団の記録である。 なかなか迫真的なドキュメンタリーにな…

『イギリス1960年代 ビートルズからサッチャーへ』(小関 隆著、中公新書、2021年5月25日発行)

1960年代が1980年代のサッチャーが登場する機会を作りだしたというのが本書の仮説であり、本書はそのようなストーリーに沿って書かれている。 1960年代の「文化革命」とりわけスウィンギング・ロンドンの描写が楽しい。戦後しばらくして豊かな社会となり労働…

『敗者のゲーム 原著第8版』(チャールズ・エリス著、日経BP、2022年1月8日発行)

S&P500の平均リターンを分析した調査を見ると、1980~2016年20年間のトータルリターンのすべては35日間(5000日間の取引日の1%に満たない)に達成されている。 投資哲学・投資コンセプト。アクティブ運用の4つの形態は次のとおり。 ・長期的に見て失敗する…

『株式市場の本当の話』(前田 昌孝著、日経プレミアシリーズ、2021年3月8日発行)

経済の実態成長率と関係なく株が上がった。MCSI全世界株指数と日経平均の動きは一致している。配当も含めた日経平均(トータル・リターン・インデックス)は2020年11月25日に1989年末の最高値を超えた。2020年は外国人、投資信託、個人とも売りが買いより多…

『物価とはなにか』(渡辺 努著、講談社選書メチエ、2022年1月11日発行)

1974年は消費者物価指数CPIが前年比23%増加し、「狂乱物価」と名付けられた。このときはガソリンなど石油関連製品の値段が上がり、CPIも上がった。インフレの原因は原油高と信じられているが、その後の分析では原油高とCPIに因果関係がないことが示されてい…

『伝説のファンドマネージャーが見た 日本株式100年史』(山下 裕士著、クロスメディア・パブリッシング発行、2020年6月1日)

データを集め、数字を分析し、感性(直観)で判断する。 値下がりしたとき、買い増すか、損切するか。 戦前は、日清・日露・第一次大戦の戦争景気で上げ、戦争終結でピークを付けた。太平洋戦争は管理相場。 スーパーサイクル 1950年7月6日の85円から1989年1…

『北極がなくなる日』(ピーター・ワダムズ著、原書房、2017年11月27日発行)

「北極がなくなる」というタイトルは正しくなく、北極の氷がなくなる日が正しいだろう。 1950年代と1960年代に南極とグリーンランドの氷床コアの採掘がはじまって、解析技術が進歩した。ここ40万年ほど気温と二酸化炭素・メタンガスの濃度を推定すると、氷期…

カレー評価メモリアル(レトルトによる)

評価基準を揃えるためレトルトカレーで評価する。随時追加。 1.ボンディ(神田) チーズカレー 最高 2.黒毛和牛と10種スパイスのごろごろビーフカレー(中辛)成城石井 肉がゴロゴロ入っているのが良い。高いが価格だけのことはある。 3.成城石井・中…

『株式投資2022 賢い資産作りに挑む新常識』(前田 昌孝著、日経プレミアシリーズ、2021年11月18日)

日本株式の目を覆う惨状 2021年10月26日現在の日経500種平均銘柄の中で、1989年にも上場していた銘柄は323銘柄あり、直近株価が1989年を上回っているのは150銘柄(46%)のみ。95銘柄は半値以下、14銘柄は10分の1以下。 1989年末に上場していた1334銘柄につ…

『大陸と海洋の起源』(アルフレッド・ウェゲナー著、講談社ブルーバックス、2020年4月20日発行)

ウェゲナーの大陸移動説最終版(1929年)の翻訳である。ウェゲナーは大陸移動説を1910年頃に着想、1912年1月6日の地質学会の席で初めて発表した。1915年本書初版を発行、1929年に第4版を発行した。 当時は地球収縮説、海洋底永久不変説(米国の地質学者間で…

『マルチメッセンジャー天文学が捉えた新しい宇宙の姿』(田中 雅臣著、講談社ブルーバックス、2021年12月20日発行)

宇宙からくるシグナルの観測は、光(19世紀)、赤外線、電波、X線(20世紀)、ニュートリノ、重力波(21世紀)に広がる。 長さスケール 距離の測定:地球公転の年周視差は1万光年まで⇒明るさの分かっている星(標準光源)の明るさを使う(セファイド型:5000…

『キッシンジャー回想録 中国(下)』(キッシンジャー、岩波書店、2012年3月28日発行)

下巻の中心的登場人物は鄧小平である。その前に、周恩来の失脚・キッシンジャーとの別れ、毛沢東の死についても語られる。1973年11月には周恩来がいつもより毛沢東に敬意を払い、ためらい勝ちであったが、歴史家の指摘ではそのころ周恩来に対する四人組の批…

『キッシンジャー回想録 中国(上)』(キッシンジャー、岩波書店、2012年3月28日発行)

第二次大戦後、米中対立となる。朝鮮戦争(1950年6月25日攻撃開始、1953年7月27日休戦合意)、第一次台湾海峡危機(1954年1月18日大陸側が大陳島と一江山島に侵攻~1955年休戦)、第二次台湾海峡危機(1958年8月23日沖合の島への砲撃)で、米中対立が続く。…