2019-01-01から1年間の記事一覧

『投資戦略の発想法ーゆっくり確実に金持ちになろう』(木村 剛著、講談社発行、2001年2月発行)

1章 投資の本なのに、最初に節約してお金を貯めろという。純粋な投資の話は、極少ない。 著者は財産形成の方法としては、①生活防衛資金の段階、②三分割ポートフォリオの段階、③株式20銘柄ポートフォリオの段階の三段階を提案する。 「株式は何でも良いから20…

『信長公記―戦国覇者の一級資料―』(和田 裕弘著、中公新書、2018年8月発行)

太田牛一(うしかつ)の信長公記から主立ったところをピックアップして解説する。比較的生の文にちかいだけ、生々しさと身近さを感じるところが良い。 信長像の大半は信長公記から得られると言っても良いようだ。戦国時代の信長像が現在になってもなまなまし…

『免疫と「病」の科学 万病の元「慢性炎症」とは何か』(宮坂 真之/定岡 恵著、講談社ブルーバックス、2018年12月発行)

第1章 慢性炎症は万病の元 この章は概説である。医学を学ぶ人達の基本。炎症は、異物や痛んだ組織が作る産物に対する生体反応である。炎症は局所で起きるが、サイトカインを通じて体全体に伝わる。サイトカインは警報役。炎症性サイトカインは他の場所に影響…

『考え方ひとつで人生は変わる』(稲盛 和夫著、PHP研究所、2015年5月発行)

稲盛さんの本にしては、若い頃の話とか、学校時代の話や松風工業に入社して直ぐの研究活動の話、つまり若い頃の話が比較的多い。もちろん後の方に、JALの再建や盛和塾の話もある。NHKのインタビューから構成したためのようだ。しかし、言っていることはまっ…

『世界経済チキンゲームの罠』(滝田 洋一、日経プレミアシリーズ、2019年3月発行)

○米国の財政の問題 ・予算の成立が遅れて政府機関の閉鎖:2018/12/22~34日間は過去最長 ・財政の壁:2019/3/1~ 9月頃米国債務上限? ・輸入車に対する関税25%(日本には痛い)日本との2国間物品貿易協定(TAG)協議中は適用しない。自由貿易協定(FTA)…

『アメリカの終わり』(フランシス・フクヤマ著、講談社、2006年11月28日発行)

本書のテーマは2001年9月11日以降の米国の外交政策である。フクヤマは自分自身がネオコンであると考えてきたが、イラク戦争を始めた動機になっとくできなかった。イラク戦争は意味がないと考えていた。ネオコンはフクヤマにとってもはや支持できないものとな…

株式投資の基本的考え方について(メモ)

株式投資をするには、株主にとっての企業の価値は何か? をまず理解するのが良い。 支配株主またはオーナー的な考え方 長い目で見れば、株の価格は企業価値により決まるはずだ。ここでいう、企業価値とはつまり企業のもつ資源(人、技術、資本)を結集して、…

『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを元に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング著、日経BP社、2019年1月発行)

最初の質問には、3問しか正解できなかった。ほとんどチンパンジー以下(偶然より悪い)レベルである。その理由は自分の思い込みに基づくバイアスにある。世界全体の状況は全然把握していなかったのにも関わらず実態より良くないと考えていたため間違いが偶然…

『戦後兜町事件史 日本の政治経済50年の歩み 上』(水沢 溪著、三一書房、1995年6月30日発行)

『証券価格と利子率・1874~1975』(一橋大学経済研究所・日本経済統計文献センター、1977年刊) 株価の形成は産業の発達と密接な関係がある。 1945年3月10日東京大空襲で各地の証券取引所が閉鎖となる。 1946年2月17日金融緊急措置令。預金封鎖。しかし、株…

『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』(本郷 和人著、朝日新聞出版、2018年12月発行)

全般的にちょっと細切れな話が一杯出ている。面白い味方が随所に紹介されてはいるが、独語の充実感が足りない。 例としては、秀吉の戦争に対する取り組みが独創的であるという話の中に、鳥取城の兵糧攻めの話が出てくる。これ自体は面白い話であるが、トピッ…

『ダークウエブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人達』(木澤 佐登志著、イースト・プレス、2019年1月発行)

Web

タイトルはダークウエブの話とあるが、それはほんの断片的に知っているような話がでているだけ。あとは、寄せ集めのネット周辺のゴミを集めた本。途中まで読んだが得るものなし。 ネットの細切れ知識を寄せ集めるとこんな本ができるという良くない見本である…

『民主主義の死に方 二極化が招く独裁への道』(スティーブン・レビッキー他著、新潮社、2018年9月発行)

アメリカにおいて共和党と民主党の対立が先鋭化してきており、特に共和党で手段を選ばず勝つという方法をとるようになってきている。トランプが共和党の大統領候補となり、結局、大統領になったのはその流れに載っているものとも言える。 著者二人は世界各国…

『知ってるつもり 無知の科学』(スティーブン・スローマン&フィリップ・ファーンバック著、早川書房、2018年4月発行)

説明深度の錯覚:説明する前と説明するあとで理解が深まるp.30 人間が一生に貯める知識の量は一ギガバイト程度(ランドアー)p.37 人間のニューロン数は1000億個 p.40 人間は自分が思うよりも無知である p.46 超記憶症候群は脳の記憶容量が大きいことを示す…

『ブレないトランプが世界恐慌を巻き起こす』(大竹 慎一著、徳間書店、2018年10月発行)

この本は読む価値があるのだろうか? ⇒あるかな・・・。いままで知らなかった概念を幾つか学べた。 米中貿易戦争をみて、この根本には、アメリカの国家戦略が変わった、中国との間で安全保障上の脅威を感じている、というのは合意できる。 対中追加関税2500…

『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト どこから来るのか、なぜ起こるのか』(村上 敏夫著、講談社ブルーバックス、2014年3月発行)

ガンマ線はX線よりもエネルギーが高く、透過力の強い電磁波。可視光は1電子ボルト(1eV)。X線は1万eV、ガンマ線は100万eV程度。地球の大気を通らないのでずっと観測できなかった。人工衛星で観測。ベラ衛星で、世界最初の報告は1967年7月2日。1973年に天文学…

『お金の流れで読む日本と世界の未来』(ジムロジャース著、PHP新書、2019年1月発行)

新書なのでやむを得ない部分もあるが、雑ぱくな議論が多い。そもそもジムロジャースが雑ぱくな議論が持ち味のような気もする。また、いろいろなしがらみを外して、大きな目でみると方向性は正しいように感じる。長期投資の観点で考えると正しいかもしれない…

『壁の向こうの住人たち アメリカの右派を覆う怒りと嘆き』(A.R. ホックシールド著、岩波書店、2018年10月発行)

素晴らしい調査のまとめ。多民族・多宗教国家のアメリカならではの問題もあるけど、ルイジアナの環境汚染のひどさに関わらず、環境規制に反対するという矛盾がなぜ生じるか? ということが良く理解できる。 ただ、最後の部分のルイジアナ州でトランプが人気…

『サイバー攻撃 ネット世界の裏側で起きていること』(中島 明日香著、講談社ブルーバックス、2018年1月発行)

Web

脆弱性についての初歩的な概説書であるが、コーディングから入っているので全くの素人には難しそうだ。しかし、本書は情報の多い本であり、全体像をつかむには良い本と思う。また、いろいろな言葉を理解できるのは嬉しい。 ○以下、本書に登場する言葉 セキュ…

『習近平と米中衝突「中華帝国」2021年の野望』(近藤 大介著、NHK出版新書、2018年11月10日発行)

トランプ政権誕生からの中国習政権の関係を辿る書。ジャーナリスト的に起きたことを時系列的に書いているので、面白みは欠ける。 2017年は北朝鮮の挑発の年とすると、2018年は米中緊張の年か。 2018年は中国では習近平一強体制が完成。 2018年3月憲法改正で…

『リバタリアニズム』(渡辺 靖著、中公新書・中央公論新社刊、2019年1月25日)

リバタリアンとは、自由市場・最小国家・社会的寛容を重んじる人達。 アメリカではリバタリアン党がある。リバタリアン党は第3党だが小さな党で、50万人しか党員登録がない。リバタリアン系の団体は沢山ある。リバタリアン党の創設者ノーランチャートの絵で…

『おとなの青春旅行』(下川 裕治・室橋裕和著、講談社現代新書、2018年7月20日発行)

ほろ苦い青春の思いよ再び。 心を揺さぶる企画である。 そろそろ時間のゆとりを作って、のんびり海外旅行に行ってみたい。 そんな気持ちが湧いてきた。 良い企画だと思う。また、紹介されている旅先も行ってみたいところが多い。

『宇宙の謎に挑む ブレーンワールド』(白水 徹也著、化学同人、2009年9月発行)

超紐理論とか、膜宇宙論という恐ろしく難しいというか、ほとんど言葉の遊びとしか思えない話である。なんとなくそういう理論がありそうだという話は他の本にも紹介されているが。語り口がまた独特で読者の理解を求めてないような。まあ、本書を買って読むこ…

『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』(櫻井武著、講談社ブルーバックス、2018年10月20日)

本書は、ちょっと固いが、内容は面白い。もう少し柔らかく書かれているとなお良かっただろう。本書に掲載されている、ラッドの実験などを通じてみると、人間と他の動物の心の働きはかなり似ているようだ。深部のところでは、動物の心に組み込まれたのと同じ…

『血液の不思議 不安と怒りは血を固まらせる』(高田 明和著、講談社ブルーバックス、1990年5月)

かなり内容は難しい話が多いのだが、研究者的な・科学的な観点のみでなく、心の問題も取り込んでいるところに本書の面白さ・あるいは良さがある。一つには表題にあるように、心筋梗塞や脳梗塞のような血栓による症状は、ストレスがあるとより起こりやすくな…

『サブスクリプション・マーケティング』(アン・H・フィッシャー著、英治出版、2017年11月発行)

サブスクリプション方式のサービスが増えている。そのマーケティングについての考え方を整理した本である。ソフトウエアの場合は、クラウドサービスと密接な関係があるが、一般の会員制サービスがこれにあたる。チャーンレート (Churn Rate) の概念は知って…

『機密費外交−なぜ日中戦争は避けられなかったのか』(井上 寿一著、講談社現代新書、2018年11月発行)

大凡、満州事変(1931年9月)から西安事件(1936年12月)頃までの日中関係と外務省の機密費の用途の関係を分析した本である。機密費の領収書が残っていたのは珍しいが、それと日中関係で本を書くのはちょっと無理があるような気もする。しかし、外務省の現地…

『サブスクリプション』(ティエン・ツォ著、ダイヤモンド社、2018年10月発行)

ものを作って売るビジネスから、顧客にサービスを提供するビジネスへの転換について熱く語っている書である。ズオラというサブスクリプションビジネスのためのサービスを提供する会社の社長が書いた本で、自社のサービスのプロパゲーションを行っている、と…

『オスマン帝国』(小笠原 弘幸著、中公新書、2018年12月25日発行)

オスマン帝国の成立から滅亡までの通史である。歴代の全ての国王(帝王というべきか)の肖像写真を掲載するという面白い試みもある。あとがきには、意図的に全ての国王に言及したとある。その一方でざっと流した解説はやや突っ込み不足という感もある。しか…