2023-01-01から1年間の記事一覧

『綿の帝国 グローバル資本主義はいかに生まれたか』(スヴェン・ベッカート著、紀伊国屋書店、2022年12月28日発行)

5000年ほど前、インド、ペルーで綿の繊維から糸を作れることが発見された。その後、西アフリカなどでも。5000年前から19世紀までインド亜大陸が綿製品製造で世界のトップだった。インドの綿はジャワからローマ帝国迄広く交易された。ヨーロッパでは12世紀イ…

欧州と米国銀行の動向 2023~2024

2024/2/24 ブルームバーク:フォートレス・インベストメント・グループのジョシュア・パックCEO談、既に15億ドルのオフィス向け正常債権を1ドルあたり50-69セントで取得した。金融機関の債権損切に対応。 米地銀株が軒並み下落、NYCBの赤字決算と減配受…

『The World for Sale 世界を動かすコモディテー・ビジネスの興亡』(ハビアー・ブラス、ジャック・ファーキー著、日経BP、2022年10月20日発行)

コモディテー・トレーダーと商社の興亡について 1950年~2020年頃までの石油、金属、農作物のトレーディングに係る主要人物、会社の興亡の物語である。

『金利と経済』(翁 邦雄著、ダイヤモンド社、2017年2月16日発行)

高度成長期規制金利、その中核は公定歩合。固定相場、少ない外貨準備。国際収支均衡重視、1973年には崩壊。 1970年代米国グレートインフレーション。1979ボルカ―の引き締め。 名目金利+物価上昇率=実質金利。お金の貸し借りでは予想金利が重要。 実質金利…

『毒の水 PFAS汚染に立ち向ったある弁護士の20年』(ロバート・ピロット著、花伝社、2023年4月5日)

1998年10月ウィルバー・アール・テナントという農場主からの依頼で始まった。32歳。 1999年6月デュポンへの訴訟開始。2000年中ごろ初公判予定。2001年1月に延期。2000年8月、開示資料から環境保護庁からの手紙。APFOを使用しているか?という質問を見つける…

『試練と挑戦の戦後金融経済史』(鈴木 淑夫著、岩波書店、2016年5月26日発行)

日銀の金融政策について割と歯に衣着せぬ記述が多く、面白い。 1971年8月15日第26回目日本降伏記念日に、ニクソンが金とドルの兌換を停止。12月スミソニアン会議で1ドル360円から308円に切り上げ。73年2~3月先進国は次々に変動相場制に移行し、プレトンウッ…

『ナポレオン戦争 十八世紀の危機から世界大戦へ』(マイク・ラポート著、白水社、2020年7月5日発行)

ナポレオン戦争という書名にも関わらず、ナポレオン自身のことにはあまり触れられていない。ナポレオンが如何に戦ったかもあまりない。 イギリス、フランス、プロイセン王国、オーストリア、ロシアの5大国の対立。神聖ローマ帝国は365のドイツの主要な領邦で…

『地銀と中小企業の運命』(橋本 卓典著、文春新書、2023年3月20日発行)

コロナ支援 2020年3月からの実質無利子無担保融資の実績は40兆円。3年間利払いなし、元本返済最大5年間の据え置き。セロゼロ融資は赤字補填資金であり、国の有事措置として始まった。最終的には公費負担となる。1~2割の返済不能で4~8兆円の公的負担が生…

『海のアルメニア商人―アジア離散交易の歴史』(重松 伸司著、集英社新書、2023年4月22日発行)

アルメニア商人の歴史を辿った異色の書。 アルメニアはギリシャ・ローマ時代から登場する。紀元前400~300年に自治・独立し、紀元前80年頃に最大版図を得る。その後は大国のはざまで分断。 近世で独立国になったのは1991年。カスピ海と黒海の間の山岳地帯に…

『コンテナから読む世界経済』(松田 琢磨著、KADOKAWA、2023年3月29日発行)

大豆輸送でみるとばら積み船では出発港と到着港にサイロ設備があって船積する。コンテナ輸送では、バンニング施設でコンテナ詰めする。輸送運賃はばら積み船がコンテナの数分の1。しかし、ばら積みでは数千トン~数万トン単位の量を必要とし、さまざまな生産…

『日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか?』(幡野武彦・松田琢磨著、日経BP、2023年2月13日発行)

2017年7月川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社がONEを設立。共同持ち株会社は、郵船38%、川崎汽船31%、商船三井31%の割合で出資、その100%出資の事業運営会社がOcean Network Express Pte. Ltd(シンガポール本社)。 約200隻のコンテナ船を運航、170万本…

『ベネズエラ ―溶解する民主主義、破綻する経済』(坂口 安紀著、中公選書、2021年1月10日発行)

ベネズエラは、世界最大の石油の確認埋蔵量を誇る。1990年代までは比較的治安が良く、石油大国であった。2大政党制のもとで安定した民主体制が30年以上継続していた。 1998年12月大統領選でウーゴ・チャベスが当選、1999年に大統領となる。新憲法を制定。国…

『政府債務』(森田 長太郎著、東洋経済新報社、2022年12月8日発行)

政府債務について真正面から取り組んで考察した書。 2000年から20年ほどは日本が近未来において破綻することにリアリティを感じた人が少なくなかった。 IMFや世銀の想定する破綻は対外債務返済能力。従来は小規模国家のみであった。2012年ギリシャの実質デフ…

『軍と兵士のローマ帝国』(井上 文則著、岩波新書、2023年3月17日発行)

ローマ帝国は、紀元前27年から476年まで続いたが、その歴史は、大きく前期と後期に分けられる。 ローマは紀元前753年に都市国家として建国。前509年から前27年まで共和制。前272年イタリア半島を統一。カルタゴとのポエニ戦争を経て、地中海全域に支配を広げ…

『国債リスク 金利が上昇するとき』(森田 長太郎著、東洋経済新報社、2014年2月13日発行)

2013年4月4日金融政策決定会合で「異次元の金融緩和」を決定。「2年程度で前年比2%の物価上昇率を達成する」ことを目的とする。 年平均利回り=((満期償還額-現在の時価)/残存年数+利率)÷現在の時価×100 日本経済の問題点は資金の需要がないこと。金…

『日本銀行 我が国に迫る危機』(河村 小百合著、講談社現代新書、2023年3月20日発行)

2022年10月1ドル151円、32年振りの円安。 2013年から10年近く異次元緩和が続き、超低金利状態。2020年春のコロナ対応の財政出動は目立った負担増なし。 2021年から世界の主要国は物価が急上昇。消費者物価上昇は英国・ユーロは前年比10%超え、米国は10%弱…

『記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』(池谷 祐二著、ブルーバックス、2001年1月20日発行)

人の脳には約1000億個の神経細胞がある。神経細胞の数は誕生したばかりの時が一番多い。使われていない神経細胞が選ばれて1日数万個減っている。脳は70歳になるまでの5%軽くなる。 但し、海馬だけは使うと増殖する。玩具を入れた環境で育てたネズミは海馬が…

『野生化するイノベーション 日本経済「失われた20年」を超える』(清水 洋著、新潮選書、2019年8月発行)

書名が面白い。 イノベーションの経営学的な研究成果のまとめ。イノベーションとは経済的な価値をもたらす新しいものごと。経済的な成長の源泉。 イノベーションはビジネスチャンスの方に移動する。 イノベーションは飼いならせない。管理できない。 イノベ…

『天変地異の地球学』(藤岡 換太郎著、講談社ブルーバックス、2022年8月20日発行)

天変地異が周期的に一緒にやってくるという主題について、短い周期のものから長い周期のものまでを概観する。 台風、エルニーニョ、ラニャーニャ、竜巻、豪雨、干ばつなど気象災害、火山、地震など固体としての地球によるもの、パンデミックのような生物に起…

『アメリカVSロシア 冷戦時代とその遺産』(ウォルター・ラフィーバー著、芦書房、2012年2月12日発行)

第2次世界大戦期から2006年までの歴代の大統領と政権の外交・戦争に関して行ってきたことを概観している。米国の各大統領政権の行ったことの記述も読みごたえがある。第1次世界大戦期にロシアがソ連になり、そして戦後のソ連との対立=冷戦、1991年まではソ…

『砂戦争 知られざる資源争奪戦』(石 弘之著、角川新書、2020年11月10日発行)

コンクリートに混ぜるための砂が不足している。 世界で毎年470~590億トンの砂が採掘されており、その7割が建設用コンクリートに混ぜる骨材として使われている。砂の市場規模は約700億ドル。 20世紀都市化の進展とともに、構想ビルが増え、セメントの需要が…

『昭和の参謀』(前田 啓介著、講談社現代新書、2022年7月20日発行)

昭和陸軍の参謀で、戦後も生き続けた人たちを取り上げて、各人の戦中から主に戦後の過ごし方をまとめた本である。 掲載されているのは、石原莞爾、服部卓四郎、辻正信、瀬島龍三、池田純久、堀栄三、八原博道。 著者は読売新聞の新聞記者である。戦争に関係…

『分断の克服 1989-1990―統一をめぐる西ドイツ外交の挑戦』(板橋 拓己著、中公選書、2022年9月10日発行)

1989年11月9日のベルリンの壁崩壊から1990年10月3日のドイツ統一の期間における西ドイツの外交について。外務大臣を務めたゲンシャーの役割を中心に分析。サロッテの『1989』と比較しても劣らない良書だと思う。 本書のメインの趣旨とは異なるが、ベルリンの…

『連星から見た宇宙』(鳴沢 真也著、講談社ブルーバックス、2020年12月20日発行)

宇宙の恒星の半分は連星。兵庫県立大学西はりま天文台「なゆた」望遠鏡。 全天で太陽以外に最も明るい星である「シリウス」(おおいぬ座)は、20天文単位離れた星の連星。天文単位とは太陽と地球の距離を1とする。 北極星「ポラリス」(こぐま座)は3重連星…

『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』(旦部 幸博著、講談社ブルーバックス、2016年2月20日初版一刷発行)

コーヒーを化学的視点で分析した本。単に美味しいコーヒーを飲みたい立場からはまったく面白くないし、あまり参考にならない。

『よくわかる最新パワー半導体の基本と仕組み 第3版』(佐藤 淳一著、秀和システム、2022年6月10日)

パワー半導体とは、AC⇒DC(コンバータ)、DC⇒AC(インバータ)、電圧、周波数など電力の変換を行う。 2020年世界の半導体デバイス市場は50兆円。パワー半導体は2兆8千億円程度(p.22,80)。 パワー半導体は単機能半導体(ディスクリート半導体) FET:電界効…

『アフガニスタン・ペーパーズ 隠蔽された真実、欺かれた勝利』(クレイグ・ウィットロック著、岩波書店、2022年6月24日発行)

2001年9月11日同時多発テロ発生。 2001年9月14日米国議会はアル=カーイダとその支持者に対する軍事力使用を承認。10月7日米軍がアフガニスタンに空爆を開始。 ブッシュ、オバマ、トランプ3代の大統領は戦争を終結できず。この間、米国政府や軍の司令官たちは…

『アフター・アベノミクス 異形の経済政策はいかに変質したのか』(軽部 謙介著、岩波新書、2022年12月20日)

第二次安倍政権は2012年から2020年まで。この間のアベノミクスについて、同じ著者による三部作の最後。アベノミクスは大規模金融緩和により、円安、株価上昇、GDP成長がプラス化などの経済復調をもたらした。しかし物価上昇は2%に届かず。2%の達成目標に…

『脱「中国依存」は可能か』(三浦 有史著、中公選書、2023年1月10日発行)

中国の世界における経済的プレゼンスは米国に比肩する。輸出入貿易額は米国を上回り、中国の低所得向け対外融資は2020年でG7合計の4倍である。中国の自動車販売台数は米国の1.7倍である。 日本の対中貿易は2021年には対米貿易の1.7倍となった。 しかし、中国…

『世界一やさしい 株の信用取引の教科書 1年生』(ジョン・シュウギョウ著、ソーテック社、2015年9月30日発行)

信用取引の方法を分かりやすく解説している。信用取引の始め方の説明としては分かり易くていいが、本書の売り買いのポイントを実際に応用できるかどうか? あまりにも株価の変動パターンを固定化しすぎているのではないか? 本書は基本的にチャートの形で判…