『プーチンの戦争「皇帝」はなぜウクライナを狙ったか』(真野 森作著、筑摩書房、2018年12月15日発行)

主に、2014年2月に始まったクリミア異変とロシア編入、2014年4月に始まったドンパスの親露派の占拠から5月11日の住民投票、独立宣言、2016年までのその後の各地域の変化を中心とするルポである。 単に現地に入ってみて歩くだけではなく、例えばクリミア問題…

『屈辱の数学史』(マット・パーカー著、山と渓谷社、2022年4月5日発行)

計算ミスによる失敗の例を集めて紹介する本である。本書の中でも触れられているが、特に科学や工学分野では失敗の原因を突き止めて対策を施すことで次の失敗をさけることができる。なので、失敗したことを認め、原因を明確にするのは大変重要である。 そうい…

『リバタリアンが社会実験してみた町の話』(マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング著、原書房、2022年3月1日)

ニューハンプシャー州の田舎町であるグラフトンに、2004年にリバタリアンがフリータウンを作った。 ニューハンプシャー州は、「自由な生か、もしくは死」という自由をモットーとする傾向がある。その中でもグラフトンは規制に反対し、税金を少なくしようとす…

『なぜ、TokTokは世界一になれたのか? 成功の表と裏』(マシュー・ブレナン著、かんき出版、2022年7月19日発行)

TikTokというショート動画の共有アプリの成功物語。技術的に言うとアプリのU/Iやバックグラウンドのバイトダンス共有のレコメンデーションシステムが優れている。また、マーケティングはクリエイターの組織化・マネタイズ、果敢な広告宣伝が優れている。なに…

『武田薬品 M&A戦略 失敗の検証』(原 雄次郎著、さくら舎、2022年7月10日発行)

先日、武田薬品の株を買うかどうかを考えるために、有価証券報告書を見て、1株あたり利益よりも、配当金の方が多いのに驚いたことがある。調べてみると、武田の配当金は2009年3月期以降、2022年3月期まで一株あたり180円に固定されていて、この間、赤字でも…

『流浪の戦国貴族 近衛前久 天下統一に翻弄された生涯』(谷口 研語著、中公新書、1994年10月25日発行)

近衛前久は天文五年(1536年)五摂家筆頭近衛家稙家の長男として生まれる。 1467年応仁の乱以後、幕府権力は衰頽する。 1530年上杉謙信、1533年島津義久、1534年織田信長、1535年島津義弘、1536年豊臣秀吉、足利義輝、1537年足利義昭、1542年徳川家康、1543…

『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(小泉 悠著、東京堂出版、2022年4月25日9版)

ロシアにおける主権に対する考え方は、国境を越えても外部迄及ぶもの。 ロシアにおける国民とは、民族的なロシア人(スラブの兄弟であるウクライナ人、ベラルーシ人)のこと。 秩序観は、ロシア人の住むところには、ロシアの主権が及ぶというもので、これが…

『オッサンの壁』(佐藤 千矢子著、講談社現代新書、2022年4月20日発行)

2017年に毎日新聞社会部長に、全国紙女性初の政治部長となった著者の体験を中心とした主に男女間の(ジェンダ―)バリアに関する話である。 さっと読んでみた範囲では、あまり面白くない。一般に新聞記者やジャーナリストが書いた本はつまらないが、本書もそ…

『希望の歴史(下)』(ルドガー・ブレグマン著、文芸春秋、2021年7月30日発行)

ドイツ人が第二次世界大戦の終結の瞬間まで、士気が高く、精力的に戦い続けた。その理由は戦友を救いたいという友情である。イデオロギーではない。連合軍のプロパガンダ作戦は影響を及ぼさなかった。アメリカの兵士も同じで、仲間のために戦う。テロリスト…

『希望の歴史(上)』(ルドガー・ブレグマン著、文芸春秋、2021年7月30日発行)

第2次大戦、ドイツによるロンドン空襲、イギリスによるドイツ空襲で人々の集団ヒステリーを起こすことはできなかった。 2005年8月カトリーナの災害で無政府状態が引き起こされたとメディアが報じたが、それは事実ではない。事実は自発的な協力の波が起きた。…

『「欲しい」はこうしてつくられる』(プリンス・ギューマン、マット・ジョンソン共著、白揚社、2022年1月26日発行)

ドッグフードをパテと同じ見かけにすると、人間はパテとドッグフードを区別できない。白ワインと、同じワインに食紅を加えて赤くしたワインについてソムリエに感想をもとめると全く違う味として知覚され、異なる感想が述べられる。(pp.16-17)脳は世界を直…

投資参考資料(日本)

ピケティの『21世紀の資本』には、国民所得=資本所得+労働所得という計算式がでてくる。要するに、収入は労働収入と資本収入という二つにわけられる。『21世紀の資本』を読むと、資本所得というものが非常に重要であるという認識を得られる。 これを一般の…

『なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論』(野村 泰紀著、講談社ブルーバックス、2022年4月20日発行)

とりあえず、ざっと見た。しかし、難解すぎて全く分からない。としか言いようがない。特にマルチバース理論なんて。読書メモを書く気にもならない。

『ディープシンキング 人工知能の思考を読む』(ガルリ・カスパロフ著、日経BP社、2017年11月28日発行)

IBMのチェス専用機ディープ・ブルーとの対戦についての経過が中心だが、コンピュータチェスの歴史やチェスのマスターたちとの対戦についての豊富な話題がある。 著者はディープブルーと2回戦う。 マスター:2200 インターンナショナルマスター:2400前後 グ…

『気候を操作する 温暖化対策の危険な「最終手段」』(杉山 昌広著、KADOKAWA、2021年3月26日発行)

世界経済フォーラムの報告書2020年1月起こる可能性の高いトップ5リスクは環境関連だった。2021年は感染症が注目を浴びたが、気候変動リスクが上位。 RE100:再生可能エネルギー100%。 CO2排出量減少だけでは対策として不十分。大気からCO2を除去する、地球…

『ヨーロッパ戦後史 上 1945-1971』(トニー・ジャット著、みすず書房、2008年3月19日発行)

第二次大戦により民族的均質性をもつ国民国家のヨーロッパが生まれた。この過程で強制移住民・難民が発生、最初の措置はアメリカ軍を中心とする連合軍、次第に国連救済復興機関(UNRRA)が責任を持つようになった。UNRRAは1943年に設立。1946年国連難民救済…

『深堀り! 日本株の本当の話』(前田 昌考著、日経プレミアシリーズ、2022年3月8日発行)

コラムなのでトピックがばらばらだが、雑な知識を仕入れるのには良い。 なにしろ、時代が変わりつつあることを実感できる。 社員の平均年齢が高いと株価上昇率が低いというのは身につまされる。 図表6-20、図表6-21

『1989ベルリンの壁崩壊後のヨーロッパを巡る闘争(下)』(メアリー・エリス・サロッティ著、慶応義塾大学出版会、2020年2月28日初版第2刷発行)

1990年3月18日東ドイツで、戦後初めて自由投票が行われた。 1990年2月10日~11日モスクワで、ゴルバチェフはドイツ統一はドイツ人が決めるべき問題とコールに承認。 統一ドイツ、特に東ドイツ領域の安全保障問題、NATOか中立かなど、東ドイツ中流ソ連軍の扱…

『1989ベルリンの壁崩壊後のヨーロッパを巡る闘争(上)』(メアリー・エリス・サロッティ著、慶応義塾大学出版会、2020年2月28日初版第2刷発行)

1989年に歴史が終わったかに見えたが、しかし、今になって思えば本書のいうとおり1989年を、東西冷戦後の新しいヨーロッパの歴史の始まりと捉える方が正しいのかもしれない。 本書は1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊する日から数か月の期間に焦点を当て、…

『世界はコロナとどう戦ったのか? パンデミック経済危機』(アダム・トゥース著、東洋経済新報社、2022年2月3日発行)

コロナによる経済危機に世界各国は財政支出をもって立ち向かったという話が中心。あまり面白くない。

『世界マネーの内幕―国際政治経済学の冒険』(中尾茂夫著、ちくま新書、2022年3月10日)

いろんな本をつまみ食いして張り合わせたという印象の濃い堕書である。結局のところ、何をいいたいのか、あまりよく理解できない。

『アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか』(ハンナ・フライ著、文芸春秋、2021年8月25日発行)

アルゴリズムの役割は次の4つに分けられ、その組み合わせである。 1.優先順位を決める。グーグル検索、推薦、ルート選択 2.カテゴリーに分ける。 3.関連、つながりを見つける 4.フィルタリング ルールに基づくアルゴリズムと機械学習アルゴリズム カ…

『タリバン台頭 —混迷のアフガニスタン現代史』(青木健太著、岩波新書、2022年3月18日発行)

アフガニスタンは文明の十字路。中東、南西アジア、中央アジアの結節点として周囲の勢力のせめぎあいの場所。アメリカは中国の対立に軸足を移すなかで、アフガンから撤退。今後は中国の影響が大きくなる。ロシアもタリバンの後見人となるか。 アフガニスタン…

『不動産の未来 マイホーム大転換時代に備えよ』(牧野 知弘著、朝日新聞出版、2022年3月30日発行)

不動産のバランスシート 資産側:住宅 負債側:ローン+自己資本 住宅の価値が落ちても債務超過にならないために自己資本が40~50%位欲しい。住宅ローンではこの原則が無視されている。 「そのとき、その場で、必要なスペースを利用する」という考え方の普…

『医療崩壊 真犯人は誰だ』(鈴木 亘著、講談社現代新書、2021年11月20日発行)

2020年新型コロナウィルス患者を受け入れて治療にあたった病院は医療機関のごく一部だった。 国立病院、旧社保庁系病院(地域医療機能推進機構)のコロナ病床数は利用可能な病床数の5%程度、国立大学病院のほとんどは第3波の最中でも10人以下のスタッフの受…

『ワクチンの噂 どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』(ハイジ・J・ラーソン著、みすず書房、2021年11月10日発行)

ワクチンと噂、ソーシャルメディアの影響について 戦争期は世上の不透明さ、不安で噂が広まりやすい。噂は感染症の状況では「警告」となる情報を伝えることもある。2014年エボラウイルスの流行では噂が飛び交い、公衆衛生上の対応が遅れることがあった。2015…

『ロボットと人間』(石黒 浩著、岩波新書、2021年11月19日発行)

人間に似たロボットを開発し、それを用いて人間を理解しようとする。構成的方法。2000年頃から人と交わるロボットの研究が盛んになり、その実用化に挑戦する企業も多い。しかし、まだ大きな成功はない。 リモート会議システムは新しいアイデアを出したり、説…

『人類の起源』(篠田 謙一著、中公新書、2022年2月25日発行)

DNA解析技術の進歩で、古代DNA研究が活況を呈している。ホモ・サピエンスは約20万年前にアフリカで生まれたのは定説。DNA解析ではネアンデルタール人の祖先とホモ・サピエンスが分かれたのは60万年ほど前であることが分かった。 ホミニンは属が異なる種を含…

『自滅する中国 なぜ世界帝国になれないのか』(エドワード・ルトワック著、芙蓉書房出版、2013年7月29日発行)

中国の経済的発展に伴い、軍事予算も相応に増えて、軍事的な大国になり周辺国が脅威を感じるようになる。そして、周辺国が、その脅威を減らす方向で互いに同盟を結ぶようになっている、という主張を行っている。 キーワードは大国の自閉症。巨大国家のリーダ…

『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』(廣瀬 敬著、講談社ブルーバックス、2022年1月20日発行)

地震波には横波と縦波があり、初期微動は縦波、主要動は横波。横波は液体中を伝わらない。マントルは横波を伝える。マグマは深いところから上がってくる。 地球の半径は6370km、地殻(厚さ6~30km)、地殻の下がマントル(地表から2890kmまで)、コア(外核…